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メッシ温存で浮き彫りになったバルサの課題。好調の裏で残る絶対的エースへの依存

text by 長坂祐樹 photo by Getty Images

期待に応えられない両サイドバック。雨の影響も大きく

 そこで違いを見せつけたのは、ようやく得意とする左ウイングでのプレーを任されたコウチーニョだった。22分、ペナルティエリア手前からクロスバー直撃のシュートを放つと、続く27分には相手の中盤とディフェンスラインの間でボールを受け、そのままパコ・アルカセルとのコンビネーションで難なくシュートに繋げて見せた。その他にも、しばしば組み立てに参加してボールの循環を円滑にしようと試みていた。

 しかし、絶対的な輝きを放つエースの不在が響いたのか、バルセロナは前半を通して得点の予感がしない攻撃に終始した。相手が左右対称のシステムになったことで守りやすくなったエスパニョールは、敢えてサイドの選手に自由を与えた。

 ところが、その自由を享受するはずだったバルセロナの両サイドバック、ネウソン・セメドとリュカ・ディーニュは孤立した状態から抜け出すことができず、攻撃の停滞を招いてしまう。せっかくのチャンスも奮起することができなかった2人のサイドバックは、前節のアラベス戦同様2人とも後半途中に交代を命じられた。

 後半に入っても、雨脚が強くなったこと以外は前半と変わらず。主導権を握りながらなかなかゴールが決まらない状況にしびれを切らしたエルネスト・バルベルデ監督は59分、パコ・アルカセルを下げてメッシを投入した。この交代にともなってコウチーニョは右サイドへとポジションを移し、アンドレス・イニエスタが左サイドへ。今季の定番となりつつある4-4-2のシステムに変更された。

 しかしながら、徐々に強まる雨の影響で水たまりのできたピッチの上では、さすがのバルセロナの選手でもパスをうまくパスをつなぐことができず。不慣れな右サイドでのプレーを強いられたコウチーニョもそれまでの勢いがなくなり、十分なパフォーマンスを見せることはできなかった。

 すると66分、相手のビルドアップのミスをついたエスパニョールが先制点を奪う。左サイドバックのディーニュからボールを奪ったセルヒオ・ガルシアが蹴ったクロスに、中央でジェラール・ピケとの競り合いを制したジェラール・モレーノが頭で合わせた。

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