ヨーロッパナイズされたブラジル人MF。一発の威力
ブラジル代表でも重宝される存在となっているウィリアン【写真：Getty Images】
名門コリンチャンスでデビューして2シーズン、ウクライナのシャフタール・ドネツクへ移籍した。酷寒、かつての炭鉱街はブラジル人には厳しい環境だ。ただ、シャフタールはブラジル人で攻撃陣を固めてヨーロッパの強豪へ成長したクラブだ。
攻撃はブラジル人の技巧とヒラメキだが、守備は洗練された組織。このバランスがヨーロッパに順応するのにちょうどいいのかもしれない。ウィリアンのほかにもルイス・アドリアーノ、ジャジソン、フェルナンジーニョ、ドウグラス・コスタを輩出、現在もブラジル代表のタイソンやフレッジがプレーしている。
アンジ・マハチカラを経てチェルシーですでに5シーズン、15-16シーズンはファン選出のクラブMVPに選ばれた。ウィリアンは典型的なブラジル選手のイメージだろう。上手くて速くてトリッキー、それでいて豊富な運動量と守備をしっかりやれる点でヨーロッパナイズもされていてデュエルの強さもある。
フリーキックの名手。ワンフェイクでかわしてのミドルとフリーキックは蹴り方が同じだ。自分の型がしっかりある選手だといえる。強くて正確なボールを蹴るうえで、ボールと自分の位置関係がはっきりしているのだ。
ブラジル代表ではコウチーニョとポジションを争うことになりそうだ。ただ、先発でなくてもウィリアンには必ず出場機会があると思う。
6、7試合を戦うチームはほとんどのフィールドプレーヤーを使い切る。ましてウィリアンのような一発のあるタイプは、一振りで試合を変えられるので重宝される。一発以外の地味な仕事もやれるので、どちらにしてもプレーする可能性は高いのだ。
（文：西部謙司）
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