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一発を備え、地味な仕事も厭わぬチェルシーMF。ブラジル代表ウィリアンが重宝される理由【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

左足の踏み替えだけで急激に加速

右アウトサイドで置きなおしてシュートを放つウィリアン
右アウトサイドで置きなおしてシュートを放つウィリアン【写真:Getty Images】

 右足のインサイドでタッチするような動作から、そのまま右足は着地させずにアウトで右へ持ち出す。つまり左足の踏み替えだけで急激に加速するわけだ。このフェイク一発でブスケツは外されていて、もう1タッチで置き去りにされた。

 この瞬間的な体重移動と加速はウィリアンの独壇場だ。シュートコースがゴールの枠外から枠内へ入っていく、つまりGKが届かないコースなので名手テア・シュテーゲンも反応できなかった。

 2本目もボールを受けた場所はほぼ同じ。こぼれ球を拾ってのニアへの強烈な一撃である。ウィリアンはボールへ寄りながら右足インサイドでコントロールした後、そのまま右足を着させずにアウトで触ってシュート体勢を作っている。

 アウトのタッチはわずかなもので、フェイントをかけたわけではないがファーストタッチとセカンドタッチで右足を浮かせたまま、左足の踏み替えだけで行っているのは1本目のフェイント動作と同じ種類の動き方だった。今回はDFに右から寄せられる前に打ち抜いている。

 そして得点の3本目は、1本目と同じフェイントでブスケツを外して真っ直ぐニアサイドへ低いシュートを叩き込む。ブスケツは1本目と同様に体を投げ出しているがどちらも全く間に合っていなかった。

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