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もはやモウリーニョは時代遅れ? 現状看過ならマンUの監督を辞すほかなし!【粕谷秀樹のプレミア一刀両断】

シリーズ:粕谷秀樹のプレミア一刀両断 text by 粕谷秀樹 photo by Getty Images

現有戦力に適していないモウリーニョの基本戦略

 セビージャ戦に限らず、ユナイテッド着任後のモウリーニョはみずからのプランに固執し、戦力の特性を見誤っているのではないだろうか。

 失点のリスクを最小限に抑え、ボールを奪った後にカウンター。チェルシー、インテル・ミラノ、レアル・マドリーでも、このスタイルで数多くの栄冠を勝ち得てきた。地球上の全チームがポゼッションを基本とする条約など結んでいないのだから、守備力を重視するチームがあったとしても不思議ではなく、アンチフットボールと批判される筋合いもない。

 しかし、ユナイテッド守備陣で世界のトップクラスといえるのは、ダビド・デ・ヘアとエリック・バイリーだけだ。

 アントニオ・バレンシアとアシュリー・ヤングは年齢的にピークを過ぎ、クリス・スモーリングは明らかに退歩した。マルコス・ロホ、フィル・ジョーンズ、ルーク・ショーはケガが多く、しかもリハビリに要する時間が長すぎる。失点のリスクを最小限に抑えられるメンバーではない。

 幅広いエリアをカバーできるバイリーと、神がかったセーブで貢献するデ・ヘアの貢献がなければ、いまごろアーセナルと肩を並べていたはずだ。ポジショニングにすぐれたマッテオ・ダルミアンとダレイ・ブリントを、あっさり見限った起用法にも大きな疑問符がつく。

 一方、前線と中盤の選手層は充実している。ロメル・ルカク、アレクシス・サンチェス、マーカス・ラッシュフォード、フアン・マタ、アントニー・マルシャル、ジェシー・リンガード、アンデル・エレーラ、ポール・ポグバ、ネマニャ・マティッチ、マイケル・キャリック、そして前述のマクトミネイ。

 パワー、スピード、テクニックなどバリエーション豊かなタレントを擁し、彼らの持ち味が美しいハーモニーを奏でる可能性は十二分にある。失点のリスクを最小限に抑えることがモウリーニョの基本戦略だとしても、現有勢力に適しているとはいえない。

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