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EL決勝、小野伸二以来の栄冠へ。酒井宏樹と仏代表ドリブラーが握るアトレティコ攻略のカギ

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

酒井とトーヴァンの連係は1つのカギ

 しかしアトレティコにとって最大の痛手なのは、指揮官シメオネがベンチ入りできないということだ。スペイン紙「マルカ」によれば、EL準決勝1stレグ対アーセナル戦でのライン際での立ち振る舞いにより、UEFA(欧州サッカー連盟)より4試合のベンチ入り禁止処分が課せられたとのこと。そのため今回の決勝戦のみならず、来季の欧州主要大会にも2試合ベンチ入りができないという状況だ。

 結果的にアーセナルを下し決勝に残ったアトレティコだが、チームを鼓舞できる闘将が不在というのは痛い。シメオネの“喝”はクラブに相当大きな変化をもたらすのだが…。

 一方のマルセイユもまた、攻撃的な戦い方でこの決勝まで上り詰めてきた。シーズン開幕前にルイス・グスタボら経験値のある選手の補強に成功し、リーグ戦、カップ戦でも十分通用する戦力を揃えることができた。名将・ルディ・ガルシア監督率いる同チームは今季リーグ戦でわずか5敗しかしていない(5月16日現在)。これはパリ・サンジェルマンに次いで2番目に少ない数字である。

 マルセイユは【4-5-1】のフォーメーションをベースとしている。中盤にはマキシム・ロペス、フロリアン・トーヴァン、パイェ、モルガン・サンソンら曲者たちが多く揃っており、攻撃面に不安はほぼないといってもいい。

 とくに右サイドでコンビを組む酒井宏樹とトーヴァンの関係は非常に良い。日本代表SBは果敢なオーバーラップから制度の高いクロスを供給でき、フランス代表アタッカーはスピードに乗ったドリブルと鋭いカットインを武器に相手の左サイドを何度も攻略してきた。

 アトレティコの守備は1人のボールホルダーに対し複数の人数を一気にかけ、カウンターへ繋げるというもの。しかしこの場合、ボール保持者に2人以上の人数をかけるため、フリーとなる選手が必ず出てくる。特に、サイドの選手はそういった状況になりやすい。

 そのため右サイドの酒井、トーヴァンには自ずとチャンスが訪れるのではないか。あとは2人でどうアトレティコの左サイドを攻略するのか。ここが1つのポイントになるのではないだろうか。

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