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代表 6年前

日本も注意すべき“アフリカン”なカウンター。完璧な守備を粉砕した、ナイジェリアの破壊力【ロシアW杯】

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

中盤トリオの大きな役割

 もはやアイスランドはこの勢いを止めることはできなかった。83分にはPKを獲得するも、これをギルフィ・シグルズソンが大きく枠を外してしまうなど、最後まで良い流れを掴めず。試合はこのまま2-0でナイジェリアが勝利した。前半シュート0本に終わった勝者は結局、後半だけで16本のシュート放ったのである。

 貴重な勝ち点3を得たアフリカの雄はこれでグループ2位に浮上。決勝トーナメント進出へ、首の皮一枚繋げた形となった。

この試合で2ゴールを挙げたムサはもちろん、大きな賞賛を得るに値する活躍をみせていた。しかし、それよりも献身的な動きをみせていたのが中盤のジョン・オビ・ミケル、エテボ、ウィルフレッド・ディディの3人だ。

 百戦錬磨の頼れる主将・ミケルは初戦のクロアチアとのゲームとは違い、守備に重心を置いた。それにより、ナイジェリアの守備陣は3バック+両ウイングバック+ミケルの6人でラインを築くことができた。ボールを奪うと素早く攻撃に人数をかけてくるアイスランドに対し、ミケルが最終ラインに加わることで数的優位を保つことができたナイジェリアは最終的に無失点で試合を終えることができたわけである。

 エテボ、ディディの2人はミケルとは違い、前線へ果敢に顔を出し、攻撃に厚みを加えた。特に後半はアイスランドの最終ラインと中盤の間に大きなスペースが空く場面が増え、そこを重点的に狙っていた印象だ。事実、両者のシュート数は2本を記録している。これはチーム2番目タイとなる数字だ。

 この3人が中盤を引き締めたことにより、ナイジェリアは攻守にバランスの取れた陣形を取ることができていた。クロアチア戦では機能しなかった中盤の改善を試みたゲルノト・ロール監督の采配も見事であったと言えるだろう。

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