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レスターの“強さ”を消したマンU。指揮官の不安跳ね除ける勝利、そこで得た一番の収穫とは

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

CB問題は解決?

エリック・バイリー
エリック・バイリーはハイパフォーマンスをみせた【写真:Getty Images】

 マンチェスター・Uの話に戻すが、一番の収穫はエリック・バイリー、ヴィクトル・リンデロフの奮闘だったのではないだろうか。

 同チームは今夏、CBの獲得を熱望していた。先に述べた2人以外にもクリス・スモーリング、フィル・ジョーンズらマンチェスター・UにCBの人材は揃っているものの、モウリーニョ監督からの絶対的な信頼を勝ち得る者はいなかった。そのため、トビー・アルデルヴァイレルト、ディエゴ・ゴディン、マグワイアといった実績のあるDFに対しアプローチを掛け続けたが、どれも獲得には至らなかった。

 レスターとの試合前にはそんなCBを中心としたディフェンス陣に不安な声も挙がったが、いざゲームが始まるとリンデロフ、バイリーの両者は安定した守備をみせた。

 特に後者は1対1の場面でも冷静さを保ち、相棒であるリンデロフのカバーリングも怠らなかった。レスターの強みでもあるセットプレー時の対応もほぼ完ぺきであり、マグワイアやウェス・モーガンといったフィジカルモンスター相手にも身体能力の高さで真っ向勝負を挑み、競り合いに勝っていた印象だ。

 バイリーは怪我の癖があり、一年通してトップコンディションでプレーできないことが多いのが最大の難点だが、2018/19シーズンを怪我なく過ごすことができれば、間違いなくマンチェスター・Uのディフェンス陣をけん引する存在となるだろう。

 相棒のリンデロフはやや集中力を欠く場面が見受けられるが、加入当初に比べると格段にレベルアップしている印象が伺えた。まだバイリーに助けられている印象も否めないが、シーズンを通して成長していってもらいたいところだ。

 2012/13シーズン以来の優勝へ。課題も露呈したマンチェスター・Uだが、同時に収穫もあった。モウリーニョ監督は開幕前に弱気な言葉を発していたが、この勝利は指揮官の想像以上のものとなったのではないだろうか。

(文:小澤祐作)

【了】

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