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いわきFC、さらなる進化への試行錯誤。鍛え上げた肉体、その力を最大化するアプローチ【いわきFCの果てなき夢】

シリーズ:いわきFCの果てなき夢 text by 藤江直人 photo by Editorial Staff

新たに導入したピラティスやヨガ

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今季から月に1回の頻度でピラティス及びヨガのトレーニングを導入【写真:フットボールチャンネル編集部】

 ストレングストレーニングが占める時間が、ボールを使ってピッチで行うそれの倍近くを占める。もちろん、面食らう選手たちも少なくない。ボールに触れる時間が極端に少ない練習内容を、吉田知は苦笑いしながら振り返る。

「不安ですか? 最初はありましたけど、いまは何とかなっています」

 シャワーで汗を流した後は再び『DNSパワーカフェ』で昼食を取り、食堂に隣接する休憩スペースのソファーか、スポンサーから提供されたマットレスをクラブハウス2階のロッカールーム内に敷いて、午後2時からの就業へ身心ともに万全のコンディションで就くために仮眠を取る。

 当初は午後7時までだった就業時間は、昨秋から同6時に変更された。選手たちの意識が高まってきたことを受けて、自主的にストレングストレーニングに取り組んでくれればという首脳陣の配慮だった。そして、すべてを終えた後に『DNSパワーカフェ』で夕食を取って帰宅の途に着く。

 もっとも、一連のルーティーンには年を重ねるごとに「変化」が加えられている。たとえば今シーズンからは、月に1回の頻度でピラティス及びヨガのトレーニングを導入。専属講師の指導のもと、ジム内にところ狭しと敷かれたマットのうえで選手たちが悪戦苦闘している。

 遺伝子検査をへたストレングストレーニングで、選手たちの体はより大きくなった。さらに今年は3月の約1ヵ月間を、ストレングストレーニングの量をさらに増やす恒例の「鍛錬期」に指定。長丁場のシーズンを見すえて、徹底的に体を鍛え抜く日々にあてた。

 しかし、いくら体を大きくしても、ピッチ上でのパフォーマンスに直結しなければ意味がない。ゆえに体の左右バランスを整え、肩甲骨や骨盤などの可動域を広げるためにも、ピラティスやヨガにチャレンジしてみようという判断がくだされた。

 いままでにない感覚で、体が動いていると感じているからか。約1時間半が費やされるピラティストレーニングが終盤に差しかかると、室内のあちらこちらから「オーッ」という選手たちの声が響きわたり、笑顔が映える。吉田知も新たな驚きを感じている一人だ。

「普通のチームではあり得ないことなので。逆にいい経験ができていると思っています」

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