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乾貴士が苦戦する2つの理由。6戦負けなしのベティス、“乾システム”をどう生かすか

スペイン1部リーグ第6節が現地時間27日に行われ、敵地に乗り込んだベティスはジローナに1-0で勝利を収めた。乾貴士は決勝ゴールの起点になるパスでベティスの勝利に貢献したが、3試合ぶりの先発出場のチャンスを十分に活かせたとは言えなかった。その理由とは何か、そして定位置確保のために必要なこととは。(文:舩木渉)

text by 舩木渉 photo by Getty Images

乾は3試合ぶりに先発したが…

乾貴士
ジローナ戦で先発出場を果たした乾貴士【写真:Getty Images】

 移籍した選手が新天地で主力に定着できるかどうかは、シーズン開幕から2ヶ月ほど、あるいは欧州カップ戦とリーグ戦を並行して戦う過密日程の中でどのような扱いを受けるかで見えてくる。

 今季からベティスに加入した日本代表FW乾貴士も、今まさに真価が問われる時期だ。今週はラ・リーガも今季初のミッドウィーク開催があり、現地時間20日のヨーロッパリーグ(EL)初戦から中2日もしくは中3日での4連戦。

 現地時間27日に行われたラ・リーガ第6節ジローナ戦は、その4連戦の3戦目だった。アウェイに乗り込んだベティスは、直前の試合でバルセロナと熱戦の末に引き分けていたジローナに1-0で勝利。今季のアウェイでの初得点を挙げ、価値あるリーグ戦2勝目を飾った。

 チームは公式戦6試合連続負けなしだが、乾は65分にホアキンとの交代でベンチに退いた。公式戦3試合ぶりのスタメン出場だったが、いい形でボールに触る機会が少なく、決勝点の起点になったとはいえタッチラインをまたいでベンチに戻る8番の背中からは不完全燃焼感が漂っていた。

 未だベティスで絶対的な存在とは言えない乾にとって、このジローナ戦は定位置を確保するためにも重要な位置づけだったはず。それはキケ・セティエン監督のこれまでの選手起用から、はっきりと伺える。

 今季のベティスは3-1-4-2のシステムをベースにして戦っていくだろう。正守護神の座はエスパニョールから新加入のパウ・ロペスが射止めた。3バックは中央のマルク・バルトラと右のアイッサ・マンディ、ともにボールを持ったまま前進できるポゼッションスタイルにふさわしいスキルを備えた2人が不動。残りの1枠を時折不安定さをのぞかせるズハイル・フェダルと、新加入ながら圧倒的な対人能力でここ最近存在感を増しているジジネイが争う。

 そして両ウィングバックは、右のフランシス・ゲレーロと左のジュニオール・フィルポという、縦への推進力に長けた2人がファーストチョイス。ターンオーバー要員には両サイドでプレー可能なクリスティアン・テージョが控える。

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