フットボールチャンネル

Jリーグ 5年前

湘南・曹監督が取った驚くべき行動。TPOは関係ない。心震わす言葉が築く揺るぎなき信頼関係

湘南ベルマーレがクラブ史上初のルヴァンカップ決勝に挑む。2012年に就任した曹貴裁(チョウ・キジェ)監督は、紆余曲折を経ながらもクラブ、選手と強い信頼関係で結ばれている。曹監督が発する言葉は選手を突き動かす力を持ち、ついにはビッグタイトルを視界に捉えた。その哲学が記された著書『育成主義』より一部抜粋編集する。(文:曹貴裁、構成:藤江直人)

text by 曺貴裁 photo by Getty Images for DAZN

試合後、ピッチ上で緊急ミーティング

曹貴裁
湘南ベルマーレを率いる曹貴裁監督【写真:Getty Images】

 序盤は試行錯誤を繰り返し、結果として新しいチャレンジを始めている、という実感が僕のなかで膨らんできたからか。昨シーズンは自分に対するいろいろな発見もあった。

 ベルマーレの監督を務めて6年目で、周囲からはマンネリ感もあるのでは、と幾度となく聞かれたが、僕はいっさい感じることがなかった。

 チームという組織をいかにして動かし、最終的には勝たせていくのか。昨シーズンを振り返れば、思ったことの9割は言葉にして選手たちに伝えてきた。たとえば、ホームにFC岐阜を迎えた4月15日の明治安田生命J2リーグ第8節。3対3で引き分けた試合後に、周囲が驚くような行動を僕は取っている。

 監督会見を終えて、ロッカールームに戻っている途中だった。試合後のクールダウンを終えて、引き揚げてくる選手たちが視界に入った。そのうちの6人を呼び止めてピッチの上、ちょうどコーナーフラッグが立っている付近で緊急ミーティングを始めた。

 参加させたのはキャプテンのMF菊地、副キャプテンのGK秋元、ボランチの石川俊輝、そしてDF杉岡大暉、DF石原広教、MF齊藤未月の十代トリオの計6人。FC岐阜戦では石原以外の5人が先発し、石原は後半12分に、最初の交代カードを切ったときにピッチへ送り出していた。

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top