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セリエA 5年前

C・ロナウドが持つ勝利へのあくなき姿勢と飢え。ユーベに備わる昨季とは異なる強さとは?

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

勇敢なサッカーを仕掛けたカリアリ

 中盤を仕切るのは、21歳の新鋭ニコラ・バレッラ。プレスに走り回り、ハードなタックルでボールを奪いながら、縦にもサイドにも飛び出して攻撃に絡む器用さも兼ね備える。イタリア代表でも主力に定着しつつあり、今シーズンは攻守にわたって違いをもたらす頼もしさも醸し出している。

 トップには足よりも頭で決めたゴールの方が多いとさえいわれる空中戦の雄で、縦のスピードにも優れるレオナルド・パボレッティ。それをフォローするのは、卓越したテクニックを誇るジョアン・ペドロと、戦術理解に優れさまざまな役割をこなすルーカス・カストロの2シャドー。若いCB陣を中心としたDFラインには、元クロアチア代表の第ベテランであるダリヨ・スルナという大物まで加わった。

 残留はもとより、中位も狙えるほど充実した戦力を統率するのは、戦術家のロランド・マラン監督。運用するシステムなどはオーソドックスながら、相手を綿密に分析して弱点を突くサッカーを仕掛けるのが上手い。

 そんな彼らは、ユーベに対しても勇敢なサッカーを仕掛けた。パスミスを拾われ、開始44秒でディバラに先制ゴールを奪われても、相手の守備の薄いところを攻め立て試合の流れを戻したのである。

 それは、堅そうだが意外にサポートの少ないサイド。ユーベは守備の際4-4-2でブロックを作ろうとするが、カリアリは相手が整うよりも早くサイドを崩した。特に効いたのは、スルナを起点とした右サイドアタック。右の深い位置からパスを出し、シャドーのカストロや中盤の選手を次々と走らせる。ユーベはこれを止めきれず、流れを作られた。

 36分の同点ゴールは、この流れで奪われたもの。ユーベの左サイドはカリアリが繰り出す縦の組み立てに対応できず、フリーになったスルナにアーリークロスを放たれる。これはクリアされるが、ボールはファーサイドへ。足に収めたジョアン・ペドロは、ジョアン・カンセロをあっさりターンで振り切ってシュートをねじ込んだ。

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