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香川真司 5年前

ドルトムント、目覚めた王者バイエルンをも撃破。「気が狂った」超濃厚な頂上決戦

text by 本田千尋 photo by Getty Images

勝機を見出した指揮官の「直感」

ルシアン・ファブレ
ドルトムントを率いるルシアン・ファブレ監督【写真:Getty Images】

 前半は怒涛のバイエルンに呑み込まれたドルトムント。だが、ファブレ監督には「直感があった」という。

「バイエルンはこのテンポで戦い抜くことはできないだろう」

「直感」は正しかった。コバチ監督は「前半は我々が試合を手中に収めたが、後半はドルトムントが手中に収めた」と振り返っている。

 48分にロイスがPKを獲得し、自ら決めて同点に追いついても、すぐさま52分に右サイドをミュラー、ニャブリ、ヨシュア・キミッヒのコンビネーションで崩され、またもレバンドフスキのヘディングで逆転された。

 しかし、バイエルンは前半のインテンシティを維持できなくなってくる。60分前後に立て続けにリベリーがチャンスを作ってきたが、ドルトムントも59分、65分と右サイドのジェイドン・サンチョの鋭い突破で、左サイドのアクラフ・ハキミの力強いボール奪取で、前半からは見違えるように、チャンスを作り出した。

 そして67分に右サイドのウカシュ・ピシュチェクからのグラウンダーのクロスを、ロイスが右足ダイレクトで同点弾。攻勢を強めるドルトムント。73分にはアクセル・ヴィツェルのパスに抜け出した途中投入のパコ・アルカセルが抜け出して、センターFWらしくきっちり決め切って逆転。終盤に掛けてはロイスが左サイドに降りて[4-5-1]で守備ブロックを形成し、アグレッシブな守備を見せたドルトムントが、5分のアディショナルタイムを凌いで、目覚めた王者を退けた。

 観る者の心を奪い、一瞬のうちに過ぎ去った頂上決戦。バイエルンが三冠に挑んだ頃の力強さを取り戻さなかったら、超高密度のゲームは生まれなかっただろう。

 再び飢えたリベリーは、「気が狂ったような」仕掛けで、ドルトムントの右サイドを、最後の最後まで苦しめた。

(取材・文:本田千尋【ドイツ】)

【了】

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