飢えを取り戻した王者の猛攻
激闘を終えて、ボルシア・ドルトムントのルシアン・ファブレ監督は「全体的に気が狂ったような試合だった」と振り返った。
11月10日に行われたブンデスリーガ第11節、ドルトムントがバイエルン・ミュンヘンを迎え撃った試合。敵将のニコ・コバチ監督は「今日、我々は両チームによるファンタスティックなフットボールの試合を目にした」と述べた。
秋の夜のジグナル・イドゥナ・パルクで繰り広げられた死闘。コバチ監督は「両チームによる」と語ったが、「気が狂ったような」「ファンタスティックな」ゲームを引き立てたのは、どちらかと言えば、バイエルンだった。
ファブレ監督が「おそらくバイエルンは今季かつてないほど強かった」と振り返ったように、どこか寝ぼけたパフォーマンスを続けていた王者は、突如として目を覚ましたのである。まるでユップ・ハインケスに率いられて三冠を達成した時のチームのように、バイエルンの選手たちは、ハードワークを惜しまなかった。トーマス・ミュラーも、フランク・リベリーも、ボールを失えばタイトに守備をした。
そんな勝利に対する飢えを取り戻したバイエルンの選手たちを前に、迎え撃つドルトムントの選手たちは、少し面食らったところもあったかもしれない。マルコ・ロイスは前半を「僕たちは良くなかった。バイエルンがポゼッションを高め、激しくプレッシングをかけてきた」と振り返っている。
10分にロイスがマッツ・フンメルスからボールを奪い、ドリブルで突き進んでシュートまで持っていったように、カウンターで攻勢に転じる場面もあった。だが「全体的に」見ればドルトムントは、なかなかセカンドボールを拾うことができない。ボールを奪ったとしても、引き締まったバイエルンの守備組織の中に、繋げていくことができなかった。
必然的に守勢に回らざるを得なくなる。リベリーの「気が狂ったような」仕掛け、ロベルト・レバンドフスキ目がけたロングボール…ロイスとマリオ・ゲッツェの2トップを筆頭とする[4-4-2]のブロックは、ズルズルと後退していく。そして26分、右サイドのセルジュ・ニャブリからの鋭いクロスを、ゴール前でレバンドフスキが渾身のヘッド。生気を取り戻した王者に、先制点を献上した。