フットボールチャンネル

フランス代表、W杯のその後。オランダに敗戦で「祭りの終わり」、世界王者が直面した現実

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

NLの出だしからフランスの雲行きは怪しかった

 その後もオランダは矢のようなシュートをフランスのゴールに浴びせたが、GKウーゴ・ロリスがミラクルセーブを連発して数々のピンチを防御。試合後デシャン監督も、「ロリスのセーブがなかったらもっとひどい結果になっていた」とこぼしたが、それだけにオランダに最後のロスタイムでPKが与えられ、2点目をあげることができたのは、誰もが納得のいくエンディングだった。

 この試合は、ポール・ポグバ、サミュエル・ウンティティ、リュカ・エルナンデスの、3人のW杯優勝メンバーが怪我で欠場していた。また、所属するマンチェスター・ユナイテッドで10月から5試合連続で計6点と絶好調で、8ヶ月ぶりに待望の招集となったアントニー・マルシャルが、直前の負傷で離脱するという不運もあった。よって、ベストメンバーでなかったにしても、それ以前の部分でオランダに負けていた。

 中盤から出るボールはいとも簡単に相手にインターセプトされたが、エンゴロ・カンテでさえも、パスの出しどころを考えるのにいつもよりコンマ数秒余計にかかっている印象で、そのほんの少しの遅れが、パスを受ける側とのタイミングのズレとなり、イージーなボールロストにつながる、そこを相手のスピードスターにさらわれる、そんな場面がたびたび見られた。

 スーパースターのキリアン・エムバペも、この試合ではどこにいるのか気づかないほど存在が消えていた。

 今回のネーションズリーグでは、初戦からフランスは怪しかった。第1節のドイツ戦は、GKがロリスからアルフォンス・アレオラに代わった以外はW杯を戦ったベストメンバーだったが、結果は0-0のドロー。この試合がA代表デビューだった新人のアレオラは、足を引っ張るどころか好セーブを連発。とくに後半の彼の3セーブがなければフランスは黒星発進となっていた。

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top