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何をいまさら、長谷部誠は動じない。落ち着きを失わず心は熱く…日本人リベロが示す存在感

text by 本田千尋 photo by Getty Images

ブンデス屈指の破壊力も真っ向勝負で対抗

 踏んできた場数が違うのだから、「ミス」を引きずらないのも当然なのかもしれない。「ミス」は、サッカーというスポーツの一部である。しかし首位チームとの大一番で、致命傷に至りかけた「ミス」で大崩れしない様子は、やはり“ベテランの妙”と言うべきではないか。

 そして長谷部は、冷静に要所要所を締めて行った。10分には、ロイスとサンチョのワンツーを見極め、きっちり対処。12分には、サンチョが右から折り返し、ゴール前にトップギアで走り込むアルカセルに対し、身を呈してブロック。FCバルセロナからの完全移籍が決まったスペイン代表FWに仕事をさせない。

 最後の所を日本人リベロが引き締めるフランクフルトは、ドルトムントを相手に互角の戦いを演じた。決して自陣に引いて篭らず、前からプレッシャーを掛け、ボールを奪えば素早く前線に送った。前方には頼れるトライアングル=セバスチャン・アレル、アンテ・レビッチ、ルカ・ヨビッチの3選手がいる。

 フランクフルトは「良さ」を押し出して、ブンデス屈指の破壊力を持つドルトムントと真っ向から戦った。

 長谷部が語る。

「これまでの試合で、自分たちは引いてブロックを作ってやったこともありますけど、どちらかというと前からプレッシャーを掛けて、ボールを奪って早く攻める方がね、やっぱり自分たちの良さが出る。試合全体を通して見ると、ドルトムントはブロックを作って止められるような相手でもないな、っていうのは、やっていて感じましたしね」

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