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香川真司 5年前

香川真司、周囲に信頼されてこそ生きる能力。トルコで手に入れた自分を表現できる環境

text by 青木務 photo by Getty Images

トップ下で勝ち越し弾に関与

 背番号23がピッチに入ると、最も得意とするトップ下に収まった。試合はその後、ベシクタシュの隙を突いたマラティヤスポルが同点に追いつく。クイックリスタートからセンターバックコンビの間に侵入を許した形だが、シュートも巧かった。ベシクタシュにとって大事なのはここから素早く盛り返し、試合を決めること。68分にはリカルド・クアレスマを投入し、攻勢に出る。

 そして70分、ベシクタシュは欲しかった勝ち越しゴールを奪う。ネットが揺れるまでの一連の流れに香川も関与している。

 自陣右サイドでボールの動きが止まったとき、ピッチ中央にいた香川は両手を振ってボールを動かすようアピール。キャプテンのハッチソンも同じジェスチャーをしていた。そこからクアレスマ、ハッチンソンを経由して左に展開。ジャネル・エルキンを挟んで香川が左サイドで受けると、ハッチンソンに預けてアタッキングサードにランニング。

 ボールは縦に付けられ、イメージを共有するリャイッチからボックス手前で香川が受けると、背番号23は密集した中をこじ開けるのではなく、空いた左のスペースにパスを送る。そして、エルキンのクロスにリャイッチが合わせたのだった。

 後半アディショナルタイムには、香川にもヒーローになるチャンスがあった。クアレスマからの絶好のクロスに頭で合わせるも、枠を捉えられなかった。シュートまでは良かった。自分で右サイドに振ると、香川はスピードに緩急つけてボックス内に侵入。香川をマークする相手はおらず、これ以上ないほどにフリーだった。

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