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昌子源はフランスで何を感じたのか?「日本とは別世界」。奮戦の中で得た発見と経験値

text by 元川悦子 photo by Etsuko Motokawa

昌子源が語る日本とフランスの違いとは?

昌子源
昌子は日本と欧州の違いについて話した【写真:元川悦子】

「自分で分かってるけど、一番行動に移せないのがスライディングなんです。日本ではスライディングは『最終手段』という考え方。(鹿島の大岩)剛さんもそう言ってました。でもこっちは五分五分の状況でもスライディングをファーストチョイスだと考えてる。

 そこで抜かれたら日本では『軽い』と言われるけど、フランスでは『相手がうまい』と捉えられるんです。正直、デンベレとのシーンも最初にスライディングに行っていたらたぶんボールを取れたと思う。そこは練習からやっていくしかないし、そうしないと奪えない。そういう技術を磨くことがすごく大事だなと感じましたね」と彼はしみじみ言う。

 そういった価値観を含め、日本とフランスではサッカーのスタンダードが異なる部分が少なからずある。その現地を目の当たりにして、昌子は「日本サッカーの延長線上に欧州があるのではない」と再認識したという。

 日本と欧州は別物で、重要視される要素も違う。だからこそ、日本で積み上げてきたことを大事にしながらも、新たな環境で得られるものを全て吸収していくことに注力しなければならない。それができれば、昌子は日本・欧州で柔軟にストロングポイントを発揮できる絶対的DFになれるはずだ。

「日本で成長できるグラフと、欧州で成長できるグラフが交わってないと僕は思うんですよね。6つの項目があったとして、日本だったら組織の完成度とかカバーリング、2対1で守るといったことを学べる。だけど個対個の駆け引きやずる賢さは欧州の方が秀でてますよね。

 麻也君もベルギー戦の後に『クルトワにアタックしてファウルで止めるとかをやっていたら違ったかも』と話していたけど、僕も海外でずっとやっていたらそういう判断ができたかもしれない。クルトワがデ・ブライネにボールを出すコースにパッと入ってとかもできたかもしれない。僕は日本でも十分成長できると思うし、素晴らしい選手になれると思うけど、別世界を知ることも重要かなと。リヨン戦でそれを痛感させられましたね」

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