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アーセナルに屈したナポリ。CL、ELで結果を残せない理由は? 欠如していた決定的なポイント

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

ナポリが示した自分たちの形

ナポリ
ジエリンスキ(左)やクリバリ(右)など、持ち味を発揮している選手もいた【写真:Getty Images】

 一方で心配なのはナポリだ。セリエAで2位につける同クラブは、CLでもリバプールやパリ・サンジェルマンといったチームと互角の戦いを見せるなど、持っている実力は十分なはずだった。

 しかし、アーセナル戦では少々残念な姿を見せてしまった。「もっとできるだろ」といった印象を抱いた方も多いのではないだろうか。

 だが、90分間のなかですべてが悪かったわけではない。とくに前半は攻撃の形ができており、自分たちの特徴も少なからず発揮できていた。

 たとえば23分、ファビアン・ルイスからボールを受けたロレンツォ・インシーニェがPAやや左外の位置でボールをキープし、その瞬間一気にアルカディウシュ・ミリクが背後に抜ける動きを見せ、それを見逃さなかったインシーニェがスルーパスを通したシーンは、ナポリの良さが引き出されたと言えるだろう。

 ここは結局オフサイドだったのだが、やはり敵陣中央でボールを持った際に発揮されるナポリの意外性のある崩しは脅威だ。27分にも中央のピオトル・ジエリンスキからミリクへ良いボールが入り、シュートまで持ち込むシーンがあった。このように、良い形でボールを奪い、手数をかけずに敵陣内中央エリアを徹底的に崩しにかかるナポリのサッカーは、アーセナル相手にも十分通用することを示していた。

 また、個人的に特徴を発揮していた選手もいた。カリドゥ・クリバリは最終ラインでビルドアップの起点となり、もちろん守備でも奮闘。空中戦の勝利数は6回となっており、攻守両面で存在感を放った。クリアも単純なものではなく、味方につけるためのものを意識。チームとしてのコンセプトをしっかり理解したうえで、それをピッチ上でいかんなく発揮した。

 ボランチでの出場となったジエリンスキも、守備時には危険なエリアをカバーしつつ隙あらば攻撃にも果敢に参加。ロングボール成功率は驚異の100%となっているなど、持ち味は出せていた。シュート数4本は両チーム合わせてトップの数字だ。

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