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Jリーグ 5年前

バブンスキー兄弟の「人生で最も美しい瞬間」。J2で初対戦、ダヴィッドとドリアンの「完璧」な関係

text by 舩木渉 photo by Getty Images

兄弟でチームメイトになるという夢を追って

ダヴィッド・バブンスキー ドリアン・バブンスキー
兄ダヴィッド(左)はバルセロナ出身、弟ドリアン(右)はレアル・マドリー出身。だがスペイン時代に対戦経験はなかった【写真:Getty Images】

 町田と大宮はともにJ2を戦っているため、2人が移籍しなければ今季のうちにもう一度直接対決のチャンスがある。「最高の気分だ。僕にとっても兄にとっても特別な時間だった。僕たちは日本にいられて幸せを感じている」というドリアンだが、「自分たちが試合に勝てなかったことだけが悲しいね。それが最も重要なことだったから」と後悔も残る。1点差を追いかける展開で同点ゴールを期待されて投入されながら、求められた結果を残すことはできなかった。

 だからこそ、ドリアンには新しい目標ができた。「次は勝つよ」と意気込む22歳は「まず最も重要なのは勝つこと、とりわけ町田ゼルビアは、兄と対戦するかどうかにかかわらず、どんな相手にも毎試合勝たなければならない。3ポイントを獲得するこそが僕のプライオリティであり、今度対戦するチャンスがあれば兄のいるチームからゴールを決めたい。そうすればさらに特別な試合になるだろうし、兄が僕たち相手にゴールを決めてほしいとも期待している。でも、勝つのは僕たちだ」と力強く語った。

 兄も負けてはいられない。「毎試合勝つために努力することを続けていくのは間違いない。大宮アルディージャは毎試合勝たなければいけないチーム。そういった態度が、僕たちの毎試合に向けたアプローチだ」と弟に勝利を譲るつもりはなく、町田戦のみならず全ての試合により高いモチベーションで挑むつもりだ。

 ドリアンはこんなことも言っていた。

「将来、僕たち2人が同じクラブでプレーすることが夢だ。まずは対戦するチャンスが巡ってきたから、今度はチームメイトになれることを願っているよ」

 父ボバンと兄ダヴィッド、弟ドリアンで親子3人が外国人Jリーガーはそれだけで珍しい。それが将来、外国人兄弟でチームメイトになることを実現できる日もやってくるだろうか。そしてダヴィッドにはもうすぐ1歳になる息子がいる。彼も成長してサッカー選手になったとしたら、親子3代で外国人Jリーガーという前人未到の偉業が現実のものになる日がくるかもしれない。最愛の兄弟であり、親友であり、さらに最高のライバルでもあるダヴィッドとドリアンの、日本で夢を追いかける日々はこれからも続いていく。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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