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リバプールが起こした衝撃的な奇跡。不可能を可能に変えた90分間、バルサとの違いはどこに?

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

開始わずか7分で先制。勢いは加速

 フィルミーノ、サラーを起用できないホームチームは、1トップにディボック・オリギ、右WGにジェルダン・シャキリを配置。左WGにはサディオ・マネを置いた3トップでバルセロナに挑んだ。もちろん彼らはリーグ戦、CLでもあまり同時に起用されたことがない。そのため、この3人の連係という部分はバルセロナ攻略の一つのポイントとなった。

 試合開始のホイッスルが鳴り響くと同時に、リバプールは凄まじいプレスでバルセロナを襲った。フィールドプレイヤー10人全員が連動した動きを見せ、相手のビルドアップを阻止。ボール奪取後は素早くサイドに展開し、崩しにかかった。

 そして試合開始わずか7分、リバプールはジョルディ・アルバのミスを突き、マネ→ジョーダン・ヘンダーソンと繋ぎ、最後はオリギが押し込み、あっという間に先制に成功した。これでリバプールの勢いはさらに加速することになる。

 流れのなかでオリギ、マネは2トップのような関係になることもあり、シャキリは一列下がった位置でボールを受けることも多かった。こうしてサイドの選手がやや中央寄りにプレーすることで、アンドリュー・ロバートソンやトレント・アレクサンダー=アーノルドが空いたタッチライン際のスペースを使うことができる。インサイドハーフのジェームズ・ミルナーやヘンダーソンがその上がったサイドバックの穴をうまくカバーしたことで、バルセロナのカウンターもある程度は阻止できていた。

 組み立ての際にはファビーニョが重要な役割を担った。最終ラインからパスを呼び込み、相手の中盤イバン・ラキティッチとセルヒオ・ブスケツのいずれかを引き出してから再びバックパスで最終ラインまでボールを戻す。リバプールの両CBはファビーニョが引き連れた中盤の空いたスペースへ縦パスを送る。その位置でボールを受けるのはオリギやシャキリであり、そこで攻撃のポイントを作ることができていた。

 守備時にはメッシにマンマークをつけず、中盤の3人と両CBのいずれかが挟み込む形で背番号10を封じた。しっかり中央に蓋をし、サイドに追いやる守備で対応したことで、メッシに決定的な仕事を与えなかった。

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