マンUとアーセナルの運命を分けたあの一戦。ギグスが伝説となり、ヴェンゲルのトラウマとなった激戦【私が見た平成の名勝負(4)】

2019年06月07日(Fri)10時00分配信

シリーズ:私が見た平成の名勝負
text by 粕谷秀樹 photo Getty Images
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「文句のつけようがないベストムーブメント」

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アーセナルのデニス・ベルカンプ【写真:Getty Images】

 一方、アーセナルは士気が低下していった。彼ららしくない消極的なプレーが徐々に増えていく。109分の失点も、ミスが発端だった。

 パトリック・ヴィエラがサイドチェンジを試みた。しかし疲れなのか、PKを阻まれた精神的ダメージなのか、フリーであるにもかかわらずキックの精度を著しく欠き、ボールはライアン・ギグスに渡った。

 ルックアップする。ドリブル開始。慌ててカバーに入ったヴィエラを子ども扱いし、鋭い緩急でリー・ディクソンを圧倒。トニー・アダムズには尻もちをつかせ後、ギグスはペナルティボックス内に進入して左足一閃! ニアポストを固めたアーセナルGKデイビッド・シーマンの頭上を鮮やかに抜いた。有力紙『ガーディアン』が「文句のつけようがないベストムーブメント」と絶賛する伝説のゴールだ。

 20年前のアーセナルを、クラブ史上最強と高く評価するメディアもある。無敗優勝した2003/04シーズンではなく、ティエリ・アンリやロベール・ピレスが加入する以前の98/99シーズンの方が魅力満載だった、との指摘はあちらこちらから聞こえてくる。たしかに20年前のアーセナルは粗削りで、未完成ゆえの期待感に包まれていた。

 しかし、この年のアーセナルは無冠に終わり、ユナイテッドのトレブルを苦々しく見つめることしかできなかった。その後ユナイテッドはプレミアリーグを8回も制したが、アーセナルはわずかに2回。両者の距離が次第に離れていく。勝負に「たられば」は禁物だが、ベルカンプのPKが決まっていれば、アーセナルの運命は変わり、ユナイテッドの羅針盤にも少なからぬ影響を及ぼしていたに違いない。

(文:粕谷秀樹)

【了】

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