南米にVARは合わない? エクアドル陣営から苦言「どれだけ叫ぶかが重要になっている」【コパ・アメリカ】

2019年06月24日(Mon)17時51分配信

photo Wataru Funaki
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エネル・バレンシア
記者会見に出席したエクアドル代表FWエネル・バレンシア【写真:舩木渉】

 コパ・アメリカ2019(南米選手権)のグループリーグ最終節が、現地24日に行われる。グループCでは日本代表とエクアドル代表が決勝トーナメント進出をかけて激突する。

 エクアドルはここまでの2試合連続で退場者を出している。1人目は初戦のウルグアイ戦、20分の空中戦の競り合いでDFホセ・キンテロがジャンプした際に、右肘が相手のDFニコラス・ロデイロの顔に入ってしまったことによって一発レッドカードとなった。

 この場面で当初主審がキンテロに提示したのはイエローカードだったが、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の助言によってビデオレビューが実施され、判定はレッドカードに変わった。2人目は第2戦のチリ戦終盤の89分、こちらはVARの出番こそなかったものの、同様に空中戦の競り合いで肘を出したDFガブリエル・アチリエルがレッドカードを受けた。

 エクアドルのエルナン・ダリオ・ゴメス監督は、とりわけ1人目のキンテロのケースに怒り心頭なようだ。22日に行われた、日本戦に向けた記者会見の中でコパ・アメリカ初導入のVARに苦言を呈した。

「最初の退場を私は何回も何回も分析して、見直した。選手たちは誰でもあのようにジャンプする。あのジャンプで退場とはどうかと思う。相手の選手がどれだけ叫ぶのか、どれだけスキャンダラスな振る舞いをするのかが重要になっている。すごく大げさに反応したことによってビデオを確認しにいった。みなさん見てみてください。そのように大げさにやるとVARが確認される。VARは毎回使われるべきではない」

 同席していたエクアドルのエースFWは、チリ戦で物議を醸したケースを引き合いに出しながら指揮官に同調する。チリ戦では39分にエクアドルのMFロマリオ・イバーラがロングボールに抜け出したが、ペナルティエリアから飛び出してきた相手GKガブリエル・アリアスと交錯する場面があった。

 直後、イバーラは痛みを訴えて倒れこみ、アリアスはノーファウルを主張。主審も一度は流してゴールキックを指示したものの、2分近くにわたってVARと交信したうえでビデオレビューに。両者が接触していたかも微妙だったとはいえ、アリアスに対するレッドカードの可能性が検討されたと思われるが、最終的にはファウルと判定され、アリアスにイエローカード、エクアドルにフリーキックが与えられた。

 バレンシアは「VARはすごく複雑で、できれば避けたい。場合によってはマリーシアをなくすこともある。ストリートでのサッカーをうまく取り入れられない。VARは我々にとってあまり良くなかったが、その現実に慣れなければいけない。チリ戦の場面ではビデオを見直すかどうかも問題だ。場合によってVARを確認しなかっただろう。エクアドルのケースだと確認する。どうなんだろうか」と、そもそもビデオレビューに移ったことへの疑念や南米サッカーのスタイルに合わないテクノロジーに対する違和感を語った。

 エクアドルの試合以外でも、日本対ウルグアイにおいてVARが用いられた植田直通とエディンソン・カバーニの接触からのPK判定は大きな波紋を呼んだ。あの場面もカバーニは接触後に大げさなアクションで痛がってファウルをアピールし、スタジアムを埋めたウルグアイサポーターも味方につけて会場全体から主審に見えない圧力をかけた節があった。

 南米ではヨーロッパほどスムーズに導入が進まないVAR。選手たちが主張するように、いわゆる“マリーシア”、南米独特のリズムや感性、ずる賢さといったストリートスタイルの良さを出せなくなってきているのかもしれない。そして、ピッチ上でそういった厳格な姿勢に順応していったり、主審が毅然とした態度で一貫した基準を持った判定を下したりすることも難しいのだろうか。

 日本対エクアドルではVARの介入を要する場面は訪れるだろうか。お互いにしこりの残るような判定が生まれて、後味の悪い結果にならないことを願いたい。

(取材・文:舩木渉【ブラジル】)

【了】

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