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メッシのFKを超絶キャッチ「簡単だった」。アリソンはまさに守護神、無失点優勝なるか【コパ・アメリカ】

text by 編集部 photo by Getty Images

アリソン
ブラジル代表の守護神アリソン【写真:Getty Images】

 ブラジル代表が悲願のタイトルに向けて順調に前進している。現地2日に行われたコパ・アメリカ2019(南米選手権)の準決勝で、宿敵アルゼンチン代表を2-0で一蹴。聖地マラカナンでの決勝に駒を進めた。

 リオネル・メッシ頼りのアルゼンチンを、ブラジルは抜群の組織力で凌駕した。選手個々のモチベーションも最高潮で、ミネイロン・スタジアムは歓喜に包まれた。

 ただ、ブラジルも90分間安泰だったわけではない。アルゼンチンにもチャンスはあった。その中でも、勝敗を決定づけたプレーが66分にあった。ペナルティエリア左手前でアルゼンチンがフリーキックを獲得した場面である。

 ここでブラジルの守護神アリソンが見る者の度肝を抜いた。難しい角度ではあったが、メッシが蹴ったフリーキックはゴール左上角を捉える。国際レベルのGKでも、本来なら触るのすら難しいであろう軌道で同点ゴールが決まったかに思われた。

 しかし、アリソンは軽くステップを踏んで右にジャンプ。ただボールを弾き出すのではなく、メッシの鋭いフリーキックをがっちりキャッチしたのである。左利きのメッシから見てゴール左上が狙われると読んでいたのか、セオリーよりもやや右寄りにポジションを取っていたが、それにしても“世界最高”を証明するのには十分な圧巻のキャッチだった。

 今季、アリソンはすでにメッシにフリーキックを決められている。チャンピオンズリーグ(CL)準決勝の1stレグ、リバプールの逆転の希望を打ち砕く3点目はメッシの左足から生まれた。ブラジルを支える守護神は、その場面と今回を比較し、次のように語った。

「2本のフリーキックは、それぞれ違うものだ。1本はより本質的で重要なキックで、メッシはファンタスティックなゴールを決めた。もう1本は、より斜めからのもので、簡単にセーブすることができた。彼のキックは良かったけれど、僕はボールがゴールにたどり着くまでの間にうまく動けて、セーブすることができた。簡単だったよ」

 ゴールの角に飛んできた鋭いシュートを、事もなげにキャッチする。これを「簡単だった」と言い切るのである。「時に象徴的なセーブというのは、いつも以上に美しいものだ。見せかけの平凡なセーブよりもね」と、アリソンは試合の流れを決定づけたプレーを誇った。

 一方、フリーキックに違いはあっても、ブラジル代表にはリバプールと同じ「魂」があるとアリソンは感じている。クラブレベルで欧州の頂点を極め、代表では南米を制する。その瞬間は刻々と迫っているのかもしれない。

「ブラジル代表とリバプールに宿る魂は、同じだと思う。勝利を強く欲している。それは僕たちにとって大きすぎるくらいの感情だ。代表チームでも勝利を必要としている。僕たちは今、チッチ監督と素晴らしい仕事を成し遂げている最中で、国とともに、スタッフ、監督、チームメイトたちとともにタイトルを勝ち取らなければならない」

 覚悟と決意を胸に戦うアリソンは、ブラジルに栄冠をもたらすことができるか。前半途中に腰のあたりを痛めながらも好プレーを連発する彼には、スタンドからも盛んに「アリソン!」コールが叫ばれた。決勝でもクリーンシートを継続できれば、コパ・アメリカ無失点優勝も達成できる。すでに守護神への国民からの信頼も絶大だ。

「次の試合にも自信を持って臨む。努力を続ける必要があるし、クリーンシートを続けるためにピッチ上ではベストを尽くさなければならないね。もう1つ、クリーンシートを重ねたいね。そうすれば僕たちはタイトルに近づくことができる」

 コパ・アメリカ決勝は現地7日の17時(日本時間8日5時)キックオフ予定。ブラジルの相手はもう1つの準決勝、チリ対ペルーの勝者となる。前回大会のグループリーグ敗退から見事に復活を遂げたカナリア軍団は、聖地マラカナンでトロフィーを掲げることができるだろうか。

(取材・文:舩木渉【コパ・アメリカ】)

【了】

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