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チェルシーの昨季はどんなシーズンだったのか? ランパード監督就任が“運命”である理由【18/19シーズン総括(9)】

シリーズ:18/19シーズン総括 text by プレミアパブ編集部 photo by Getty Images

成長した若手の選手とは

 その後、冬の過密日程による疲労で運動量が低下し、前線のプレスが外されやすくなる。すると年明けにはボーンマスに0-4、シティに0-6と大敗を喫してしまう。シティ戦の翌週にユナイテッドに敗れ、FAカップの敗退が決まった頃には、ファンの怒りは頂点に達していた。

「サッリボールはクソだ!」

「お前は明日の朝にクビになるぞ!」

 監督に罵声を浴びせようと叫ぶ者もいたほどだ。

 ただ最終的にリーグ終盤には、コンディションを低下させ勝ち点を落とすライバルチームを尻目に、高いレベルのフィットネスを維持していた。特に夏は長めに休んだエースのアザールが絶好調だったこともあり、終盤の巻き返しに成功する。その後の結果は前述の通りである。

 結果以外の良かったポイントでいうと、若手の成長だろうか。イタリア人監督は、当初、かたくなに若手を起用しなかったが、最終的には機会を与えて結果を残した選手もいた。

 そのうちの一人はルベン・ロスタフ=チークだろうか。アカデミー時代には14歳の時点でU-18の試合に出場していた逸材は、17/18シーズンにローン先のクリスタルパレスで躍動する。その活躍が認められ昨季チェルシーに復帰すると、マテオ・コバチッチやロス・バークリーとポジション争いをすることになる。

 シーズン序盤は攻守の切り替えの遅さや、ポジショニングの悪さもあり出自機会を手にできなかったが、それらも徐々に改善。最終的には大柄な選手とは思えない規格外の推進力と得点感覚を披露する。シーズン終盤にはゴールに直結する仕事を連発し、チームに不可欠な存在になりつつあった。

 思い返せばこの才能に溢れたイングランド人は、昨夏のワールドカップ後、休暇を短縮して早めにチームに合流していた。夏からの努力がシーズン終盤になって実ったのだ。

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