柏レイソル、オファーをすべて断ったエースの決意とは…J1昇格へチームに共有される勝利へのこだわり【英国人の視点】

昨季は2度の監督交代に揺れたが柏レイソルがJ1・17位と低迷し、J2に降格した。2010年以来となったJ2では、白星から遠ざかる時期もあったが、第23節終了時点で首位に勝ち点差で並ぶ2位につけている。例年同様に大混戦の様相を見せるJ1昇格争いだが、柏の戦いは昨年J2王者の松本山雅と重なるところがある。(取材・文:ショーン・キャロル)

2019年07月27日(Sat)10時00分配信

text by 編集部 photo Getty Images
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難化する1年での「J1返り咲き」

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今季から再び柏レイソルを率いるネルシーニョ監督【写真:Getty Images】

 選手たちやファンにとって、その瞬間にそう感じることはできないとしても、降格というのは必ずしもクラブにとって最悪の出来事であるとは限らない。

 2009年から2016年までは、毎年少なくとも1チームが2部降格から1年でJ1復帰を果たしていた。降格の落胆を味わっても、建て直せるだけの力を持っていたチームが多かったということだ。

 だがJリーグが着実に拡大を続け、より若いクラブがカテゴリを駆け上がっていく中で、既存の序列は徐々に脅かされている。素早い建て直しができなければ、クラブの姿は全く別物に変わってしまうこともある。

 昨年は2009年以来初めて、前年に降格したチームがひとつも最短でのトップリーグ復帰を勝ち取ることができなかった。大宮アルディージャ、アルビレックス新潟、ヴァンフォーレ甲府はいずれも、もう1年J2で戦うことを強いられ、松本山雅FCと大分トリニータが2つの自動昇格枠を確保した。

 その3チームの中で、現在J2のプレーオフ圏内にいるのは大宮のみ。新潟は今季すでに監督交代を余儀なくされ、13位に低迷している。甲府も最近4試合で3敗を喫し、7位に位置している。

 昇格から1年でJ2に戻ってきたV・ファーレン長崎も同様の苦戦を強いられている。10年前にベガルタ仙台をJ1昇格へ導いた手倉森誠監督を招聘しながらも、最近7試合でわずか2勝を挙げるにとどまり、自動昇格圏に9ポイント引き離されている。

すべてのオファーを断ったFW

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今季6得点をマークしているクリスティアーノ【写真:Getty Images】

 柏レイソルも同じく、3月下旬から6月半ばにかけて14試合で3勝のみという低調な時期を過ごした。だがシーズン前に有力な昇格候補と予想され、その期待通り開幕4連勝という順調なスタートを切っていたネルシーニョのチームは、ここに来て5連勝を重ね2位へと再浮上している。

「J1のビッグクラブという立場を保つためには、降格してもすぐに昇格を勝ち取ることが必要になる。2年目やそれ以降になると昇格はどんどん難しくなってしまう」。先週土曜日のツエーゲン金沢戦で決勝点を挙げてレイソルを1-0の勝利に導いたクリスティアーノは試合後にそう語った。

「降格後にはすぐに代理人と話をした。他の場所からのオファーもあったが全部断ったよ。柏のJ1復帰を助けることだけしか考えていなかった。1年での復帰を助けられるように、本当に必死に頑張らなければいけないと感じている。いつもそのことを意識してプレーしている」

 金沢戦は、レイソルにとって今季9回目の1点差勝利となった。だがチームが目標に向かって進み続けている限り、点差については気にしないとクリスティアーノは語る。

「大差の勝利でも1-0の勝利でも、手に入れられる勝ち点は変わらない。とにかく勝つことが何より大事だと思う」

昨年王者と同じ道を歩むことができるか

「以前には、すごく良いプレーをしても結果が出ないような試合もあった。今日は1-0の最少得点でしか勝てなかったが、重要なのはこれでまた貴重な勝ち点3を積み重ねたということだ」

 それはまさに昨季の松本山雅が示した姿勢でもあった。最終的にJ2王者となった松本が獲得した勝ち点77ポイントのうち、33ポイントは1-0の勝利で手に入れたものだった。ネルシーニョ監督も金沢戦の勝利後に全く同じ考えを口にしていた。

「良いプレーをしながらも勝てなかった試合もたくさんあった。今日のような試合に僅差で勝てるようにするのが非常に大事だということだ」

「良い試合もあれば良くない試合もあるのは当然だ。選手たちには、順調に進まないような試合にも勝てる力を要求している。目標に到達するためには全ての試合を決勝戦のつもりで戦わなければならないという意識を選手たちに伝えようとしている」

「ようやく2位にまで上がることができた。チーム全体が勝利にこだわる意識を共有できている証拠だ。目標に向けて進んでいく中で、勝ち点3を狙う姿勢を持ち続けなければならない」

 2010年にも柏をJ2から1年での復帰に導いたネルシーニョ監督。競争の激しさが増す一方のこのリーグで戦っていくために何が必要であるかを知っているはずであり、ファンもそれを期待している。その目標が達成できなければ何が彼らを待っているのか、教訓とすべき例は千葉のもう1つのクラブに目を向けるだけで存在している。

 Jリーグ「オリジナル10」の一員でもあったジェフユナイテッド千葉だが、2009年にレイソルとともに降格して以来トップリーグに返り咲くことができず、J2の平凡なチームという立場に甘んじている。レイソルは同じ運命を辿る可能性を回避するため、なんとしても仕事をやり遂げ、最初の挑戦で2部リーグからの脱出に成功したいところだろう。

(取材・文:ショーン・キャロル)

【了】

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