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久保建英はボランチ起用で苦しむ…。不運だったアトレティコ戦、それでも残した爪痕

インターナショナル・チャレンジカップ2019(ICC)のレアル・マドリー対アトレティコ・マドリーが現地時間26日に行われた。62分からピッチに立った久保建英は、バイエルン・ミュンヘン戦同様、攻撃陣を活性化させることが期待されたが、運に恵まれず苦戦してしまった。それでも終盤に得点のキッカケとなるなど、残した爪痕もあった。(文:小澤祐作)

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

乱闘騒ぎが久保にとって不都合なものに

レアル・マドリー
カルバハルとD・コスタによって両チームの乱闘騒ぎに発展。久保にとっては不都合なものに…【写真:Getty Images】

 現地時間20日に行われたインターナショナル・チャレンジカップ2019(ICC)のバイエルン・ミュンヘン戦でレアル・マドリーデビューを果たしたMF久保建英。インサイドハーフの一角でプレーした背番号26は、ファーストタッチから自身の持ち味を発揮し、攻撃陣を活性化させるなど大きく躍動した。試合後にはスペイン大手紙『マルカ』で「黄金の左足」と称されるなど、マドリーデビュー戦は世界にその実力を示す結果となった。

 迎えた現地時間26日、マドリーはICCの3戦目でライバルのアトレティコ・マドリーと激突している。ベンチスタートとなった久保は、62分にピッチへ立ったが、この日はチームにとっても日本代表MFにとっても厳しい内容となった。ただ、久保に関しては不運な面もあったのは間違いない。

 1-6とスコアが大きく広がった中でピッチへ送り出された久保。チームとしての勢いが半減している中で、どのようなパフォーマンスを見せ攻撃を活性化させるのかには大きな注目が集まった。

 しかし、久保がピッチに立った直後であった。DFダニエル・カルバハルがFWトマ・ルマルに対し厳しくチャージ。これに激昂したFWジエゴ・コスタが今度はカルバハルに向かって厳しく当たると、その直後に両者が激しくぶつかり合い、両チーム入り混じる乱闘騒ぎに発展。主審はカルバハルとD・コスタに対しレッドカードを提示したが、久保にとってはこれが不都合であった。

 右サイドバックを失ったマドリーは、FWルーカス・バスケスを同ポジションへ配置。これにより久保はMFトニ・クロースとともに中盤を二人で形成することになったのだ。

終盤のシュートが得点のキッカケに

久保建英
ジダン監督の目には久保はどう映ったのだろうか【写真:Getty Images】

 チーム全体が押し込まれている状況で、なおかつクロースと二人で中盤を担わなければならない。久保にとってはかなり難しい条件であったことは間違いない。

 そして、ゴール前にあまり顔を出せず、中盤でパスを無難に散らしていた久保だったが、70分には痛いミスを犯した。自身が出したパスをMFビトーロにカットされると久保は即座に同選手へスライディングタックルを見舞う。だが、これをあっさり外されてしまうと、スペイン人MFはそのままドリブルで前へ進み、ゴールを奪ってしまった。背番号26は、失点の原因となってしまったのである。

 その後も久保にとっては厳しい時間帯が続いた。83分にはクロースからのパスを受け、前を向こうとしたものの、MFエクトル・エレーラにボールを奪われカウンターを許すなど、なかなか自身の持ち味を発揮できずにいた。

 そもそもマドリーの守備が全体的に緩く、カウンターすらうまく決まらない状況で久保がゴール前で持ち味を発揮するのは難しい。反対にアトレティコには深い位置までボールを運ばれるなど、チーム状況からしてこの日の久保は攻撃よりも守備に回らなければならない時間帯が多かった。ただ、攻→守への切り替えの部分は課題として出た印象もあり、そこが見つかった点は一つの収穫と言えるかもしれない。

 しかし、終盤のミドルシュートはやはり別格であった。ペナルティエリアやや手前でパスを受けた久保が思い切って左足を振り抜くと、鋭いシュートが枠へ飛ぶ。これはGKヤン・オブラクにセーブされたが、そこからの二次攻撃が得点へと繋がった。久保はボランチ起用という苦しい状況でも追加点のキッカケを作ったのだ。

 マドリーはこれでICCの全日程を終えた。久保は3試合中2試合に出場したが、ジネディーヌ・ジダン監督の目にはどう映ったのだろうか。トップチーム昇格も不可能な話ではないというが、今後の動向に注目したい。

(文:小澤祐作)

【了】

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