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鈴木優磨が「絶対に超えられる」と豪語した選手とは? ベルギー挑戦は「毎日楽しい」

text by 編集部 photo by STVV

鈴木優磨
シント=トロイデンVVに所属するFW鈴木優磨【写真:STVV】

 巨大な野心を胸に秘めたストライカーが欧州での挑戦を始めた。この夏、鹿島アントラーズからベルギー1部のシント=トロイデンVV(STVV)に移籍したFW鈴木優磨は、徐々に周囲の信頼を掴みつつある。

 現地29日に行われたベルギー1部第9節、ゲンク戦ではベンチスタートだったものの、1点リードされていた前半終了間際の43分から急きょピッチへ。「始めから出たかったです…」とつぶやいた23歳は、「チームとして最後はいい試合ができた」と0-3から3-3まで追いついた劇的な試合を前向きに振り返った。

 今季4試合目の出場はダービーマッチ。後半途中にSTVV側のゴール裏から物が投げ込まれるなどヒートアップし、試合は約15分間にわたって中断された。

 その中断明けからSTVVの猛反撃が始まり、終盤の87分には3-3の同点に。最後のゴールに怒ったゲンクサポーターの怒りゲージが爆発寸前まで溜まり、スタンドの前には警察の機動隊が集結して警戒にあたった。そこで再び試合は中断、主審はそのまま再開させることなく試合終了の笛を吹いた。

 まさに「大荒れ」という言葉がふさわしい試合で、鈴木も「負けないのと同時に、怪我をしないという(ことを意識した)。ちょっと危なかったので、状況的にも」と語る。だが、「そんなに慌てずできました」と冷静で、「もうちょい絡んでいけて、もうちょいゴール前で力を発揮できるようになれば、点を取っていけるんじゃないか」と課題を振り返った。

 ゴール前で持ち前のシュート力を発揮できる場面は少なく「もっとゴール前で自分の力を発揮したい」とも鈴木は言う。ベルギー移籍後の先発出場は1試合のみだが、充実した日々の中で自信を深めつつある。

「楽しいです、毎日、本当に。1つひとつのプレーだったり、体感するレベルだったり、フィジカル強度というのは間違いなくこっちに来て大変なんで、それに体が慣れて、もっともっといいところにいけるように頑張ります」

 そして、同い年で昨季STVVに在籍して公式戦16得点を奪い、今季はフランクフルトでレギュラーの座を確たるものにしつつある日本代表FW鎌田大地をも「絶対に超えられる」と鈴木は豪語する。

「(鎌田と)同じ時間を与えられれば、俺は絶対に超えられると思っているので。スタメンで出れば絶対に(ゴールを)取れる。実際、練習試合もこないだの試合もスタメンで出て点を取っているし、(監督が)スタメンで出すか出さないかの問題なので。(試合に)出た時は点を取ることを意識してやっていますし、もちろん自分が期待されているのはわかっているので、点を取れるように頑張ります」

 背番号9を与えられ、クラブからもファンからも新エースとして期待は大きい。STVVが昨季以上の成績を残すには、鈴木の活躍が不可欠。結果を出せば自然に周りからの信頼も高まり、連係面の課題も解決されていくだろう。欧州初挑戦のストライカーの覚醒は時間の問題かもしれない。

(取材・文:舩木渉【ベルギー】)

【了】

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