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「他国代表でプレー」希望するベンゼマ。FIFA規定による唯一の実現方法は…

text by 編集部 photo by Getty Images

カリム・ベンゼマ
カリム・ベンゼマ【写真:Getty Images】

 レアル・マドリーに所属する元フランス代表FWカリム・ベンゼマの発言が波紋を呼んでいる。フランス代表への復帰の道が閉ざされるのであれば、「他国の代表チームでプレーさせてほしい」という要請だ。

 2016年以来、フランス代表から事実上の追放状態が続いているベンゼマ。16日にはフランスサッカー連盟のノエル・ル・グラエ会長が「彼の冒険は終わった」と代表復帰の可能性を閉ざす発言をしたのに対し、ベンゼマは「僕が終わったと思うのなら、選出資格のある他国のひとつでプレーさせてほしい」とSNSで返答した。

 ベンゼマが具体的に想定している「他国」とは、両親の母国であるアルジェリアではないかとの見方が強い。フランス『RMC』はアルジェリアに加えて、10年間在住して国籍取得要件を満たしているスペインではないかとも伝えている。

 だが国際サッカー連盟(FIFA)の規定に従えば、ベンゼマがフランス以外の代表チームでプレーすることは現状では認められない。代表チームの変更が認められるのは、ある国でA代表の公式戦に出場したことがない選手のみというのが原則だ。

 一旦ある国の代表チームにデビューしたとしても、親善試合のみの出場であれば、他国の国籍を取得した上で代表チームを変更することは可能。ジエゴ・コスタ(ブラジル→スペイン)、ウィルフレッド・ザハ(イングランド→コートジボワール)など実際にこの規定が適用された選手も多い。

 2014年ワールドカップや2大会のユーロなども含めてフランス代表で数多くの公式戦を戦ってきたベンゼマの場合はもちろん状況が異なる。仮に他国の国籍を取得したとしても、その国の代表チームでプレーすることは認められない。

 だが仏紙『レキップ』などの指摘によれば、ベンゼマが他国の代表チームでプレー可能となる道がひとつだけあるとも考えられるようだ。FIFA憲章の国籍規定第8条において、「政府の決定により、選手が自身の意志に反して完全に国籍を失った場合」には、新たに国籍を取得するなどした他国の代表チームでのプレーを承認するようFIFAに要請を行うことが可能だとされている。

 つまりフランス政府がベンゼマから国籍を剥奪した場合のみ、他の代表チームでプレーできる可能性が出てくるということになる。それが現実的な話であるかどうかはまた別問題だろう。

【了】

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