アトレティコ・マドリーの戦術、選手起用法は? 影を潜めるシメオネのDNA。チーム再建も負傷者続出で歯車が噛み合わず【序盤戦レポート(6)】

2019/20シーズンは序盤戦を終えた。補強が成功して首位争いを演じるチームもあれば、低迷して監督交代を余儀なくされたチームもある。各クラブのこれまでの戦いを振り返りつつ、見えてきた戦い方と課題を考察していく。第6回はアトレティコ・マドリー。(文:編集部)

2019年12月05日(Thu)10時10分配信

シリーズ:序盤戦レポート
text by 編集部 photo Getty Images
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アトレティコ・マドリーの戦術は?

アトレティコ・マドリー

アトレティコ・マドリー【写真:Getty Images】

 ディエゴ・シメオネがアトレティコ・マドリーの監督に就任をして9年目を迎えた。この男が監督の座に就いて以降、チームはリーグ優勝とヨーロッパリーグ制覇を含む計7つのタイトルを獲得している。

 基本のシステムはフラットの4-4-2。相手陣内深くにボールがある時は前線2枚がプレスに行き、それに連動して中盤の選手も前に出る。自陣内でディフェンスをする時はピッチに立つ全員が守備に戻る。サイドに追いやるようにコースを消して、サイドに追い込んだ後は2人でプレスに行きボールを奪取するのが一つの形だ。しかし今季は主力が多く抜け、チームはまだ再建中といった様子で、自慢の強固なディフェンスがやや影を潜めている。

 一方、攻撃時のフォーメーションはとても流動的だ。基本は3-1-4-2の形になるが、ダイヤモンド型の4-4-2を形成する時もある。3バック時は両SBのDFキーラン・トリッピアーとDFレナン・ロディが高い位置をとり、MFサウール・ニゲスがロディの位置に降りる。トップ下を置く4-4-2の際にはサウールやMFトマ・ルマールがその位置に入る。

 今季は両SBが高い地位をとるようになったことから、サイドチェンジが頻繁に行われる。質の高いクロスを供給することに長けた、両SBからの攻撃が新生アトレティコの一つの型となっている。

守備の要が怪我に苦しむ

 GKはやはりヤン・オブラクしかいない。サモラ賞を4年連続で獲得するなどチームの絶対的守護神として君臨している。この男のおかげで試合に勝つことが出来たというゲームも多い。

 最終ラインは古参メンバーと新参者が融合している。

 今季はCBにゴディンの相棒として活躍をしたDFステファン・サビッチとDFホセ・ヒメネスがコンビを組む。この2人はシメオネ監督のアイデンティティを体に刻んで来た選手達だが、2人ともまさかの負傷離脱中。現在は新加入のDFフェリペとDFマリオ・エルモソが出場をしている。

 SBは右がトリッピアー、左はロディとなっている。右サイドバックにDFサンティアゴ・アリアスがローテーションで入ることもあるが、左SBはロディしか本職にする選手がおらず、エルモソやサウールが入ることがある。

 これまでチームを支えてきた、DFディエゴ・ゴディン、DFフィリペ・ルイス、DFファンフランらがチームを去ったことにより、今季一番変化があったのがこの最終ラインだ。異質とも言えるアトレティコのスタイルを体現する選手がこぞって抜けたことにより、安定感が無くなっているのは否めない。現時点で公式戦7試合連続失点中とアトレティコらしくない。ここが一番の問題だろう。

層が増した中盤

 中盤はこれまで活躍してきた選手が今季もスタメンの座を勝ち取っていると言える。

 CMFにMFトーマス・パーテイとサウールが配置され、左サイドハーフにコケ、右サイドハーフにジョアン・フェリックスを置く形が基本。トーマスはロドリが去ったこともあり、今季から主力の一員になり、攻守で重要な役割を担っている。

 コケとサウールは試合中でも頻繁にポジションを変更する。両者ともCMFと両サイドハーフが出来るのが強みだ。運動量も豊富で90分間走り回ることが出来るため、アトレティコのスタイルに必要不可欠な存在だ。

 昨季加入したトマ・ルマールは今季、開幕から4試合連続でスタメンとして出場していたが、リーグ戦第5節に負傷をしてしまい、戦列復帰をして以降はベンチスタートということが多くなっている。昨シーズンも結局チームのスタイルに馴染むことが出来なかったため、間違いなく今季が正念場だろう。

 またシメオネ監督はメンバーを大きく変更をすることが少ないため、新加入のマルコス・ジョレンテ、エクトル・エレーラはなかなか出場機会に恵まれていない。それでもエレーラに関しては怪我人が続出して、少ないチャンスをものにしたため、徐々に指揮官の信頼を勝ち取りスタメンに名を連ねている。

 また、これまでスーパーサブの域を脱することが出来なかったコレアも、負傷離脱をした選手に代わってスタメンで起用される場面が多くなっている。

 FWジョアン・フェリックスに関しては前線2枚のFWジエゴ・コスタとモラタが負傷をしない限りは右サイドで起用される。しかし前線2枚のうちどちらかが怪我で離脱をすることが多いためFWとして起用されることの方が多い。持ち前のドリブルとテクニックはどこにいても発揮される。もっと精度を上げなければならないのはフィニッシュの部分だ。リーグ戦で2ゴール、チャンピオンズリーグで1ゴールと、なかなか得点を奪えていない状況が続いている。

エース不在の前線

 グリーズマンが去って以降、前線2枚のファーストチョイスはコスタとモラタだ。しかし前述した通りこの選手らが2人揃って出場した試合は少なく、どちらかが負傷離脱を余儀なくされる試合の方が多い。その場合はフェリックスかコレアがFWの一角を担う。

 そして、ここにも問題がある。エースが抜けて得点力不足の悩みがさらに深刻化しているのだ。期待を背負いグリーズマンから7番を継承したフェリックスはまだ目立った活躍が出来ておらず、エースの穴を埋めるには至っていない。コスタとモラタもゴールを量産するまでの活躍は出来ていない。

 転換期を迎えた今季は思うように成績を残せていないアトレティコ。怪我人が続出したことも影響しているが、攻守ともに歯車が噛み合っていない。シメオネのDNAをどこまで浸透させることが出来るか。指揮官の手腕が問われる。

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