冨安健洋、ミスが許されぬミラン戦で露呈した課題。攻守両面で失う存在感、今後必要なものは?

セリエA第15節、ボローニャ対ミランが現地時間8日に行われ、2-3でアウェイチームが勝利を収めている。日本代表DFの冨安健洋はこの日も先発フル出場。しかし、同選手はこの試合で2失点に絡んでしまうなど、内容は苦しいものとなった。そこで見えてきた、今後の課題とは?(取材・文:神尾光臣【イタリア】)

2019年12月09日(Mon)12時34分配信

text by 神尾光臣 photo Getty Images
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PK献上に絡んだ冨安健洋

冨安健洋
冨安健洋は第15節のミラン戦でも先発フル出場を果たしている(写真は第14節のナポリ戦時)【写真:Getty Images】

「あまりにもミスをしすぎた。クオリティの高い選手ばかりが揃うチームを前にして、こういうことは許されなかった」

 ボローニャが2−3で敗れたホームのミラン戦後、シニシャ・ミハイロビッチ監督の代理として記者会見に応じたエミリオ・デ・レオ戦術担当コーチは厳しい表情で語った。この日ピッチサイドで指揮はとるも、人混みを避けるために会見には出なかった監督だが、「試合後には選手に話をした(デ・レオ)」という。きっと、厳しい叱責が飛んだのだろう。

 この試合を迎えるにあたってボローニャとの勝ち点差はわずかに1と、中位に沈む不振のミラン。しかしステファノ・ピオーリ監督の元でチームを再建中で、何より個のレベルが高いことには変わりはない。それを相手に、些細なことでもミスを犯せばどうなるのかということが痛烈に示された試合だった。

 そしてミスを犯したのは、冨安健洋も例外ではなかった。前節のナポリ戦ではロレンツォ・インシーニェに対して堂々の立ち回りを見せたが、今節では逆に2失点に絡み、攻撃面でも良いところが出せずに終わってしまった。

 まずは13分、PK献上に絡んでしまう。右サイドで、深い位置でボールを保持した冨安は、前を向こうとしてボールに触った。するとその時、ミランの左ウイングを務めていたハカン・チャルハノールにプレスをかけられてしまう。このボールをロストすると、前線にいたFWクシシュトフ・ピョンテクにつながれ、エリアまで運ばれてしまった。

 急激なボールロストで、味方が準備できていない。後手に回ったマッティア・バーニは、ピョンテクをファウルで倒してしまい、PKを献上してしまう。これをピョンテクに決められて、ボローニャは先制を許してしまった。

 直接的には、ファウルを犯したのはバーニだ。しかし急激な速攻を喰らう状況を作ってしまったのは、冨安のボールロストだった。これまで繊細かつ大胆なボールコントロールでピンチを切り抜ける高い力を見せてきた彼だったが、この時ばかりは仇となってしまった。

ボローニャに反撃ムード。しかし…

 これは、ミランの仕掛けてきた守備も影響していた。ボローニャのサッカーの礎はディフェンスラインからのビルドアップで、それを看破したピオーリ監督は前線の選手に執拗なプレスを命じた。前の選手はプレッシャーをかけ、後方の選手はパスコースを塞ぐ。ボローニャのディフェンダーが苦し紛れに中盤にボールを預けようものなら、待ってましたとばかりにプレスをかけられる。

 ボローニャの守備陣、そして冨安にとっては苦しい状況となった。パスをつなぐコースも消されて、対面の選手からプレスを掛けられるばかりになる。その後ボールロストはしなかったものの、縦パスを出す回数はいつもよりも少なくなっていた。

 そして、ミランが攻撃してきた際にも難しい対応を迫られた。サイドで縦方向のビルドアップを主体にしながら、速い横への揺さぶりも狡猾に入れてくるのがピオーリのサッカーだ。冨安のいた右サイドで言えば、対面のチャルハノールが中に入ると、すぐインサイドMFのジャコモ・ボナベントゥーラが少ないタッチのパス交換で絡んでくる。

 複雑なポジションチェンジをする相手についていこうとすると、右サイドのスペースがどうしても空いてしまう。するとそこに、気がついたら左サイドバックのテオ・エルナンデスが走り込む。32分のミランの追加点は、そんな後手に回った結果許してしまったものだ。

 その後ボローニャは、相手のオウンゴールによってなんとか点差を詰める。ところが反撃のムードは、よりにもよって冨安の絡んだ失点によって崩されてしまったのだ。

冨安が成長するための課題は?

 後半開始直後、ミランはあっさりと右サイドを縦に破ってチャンスを作る。スルーパスを受けて裏へと飛び出したピョンテクは、中央へとグラウンダーのクロスを入れる。中に絞った冨安は、背後にいる選手を気にしながらポジションをとって、クロスを弾く。ところが体の向きが甘いまま蹴ったボールは、中央へ渡ってしまった。

 そこでボールを拾ったのは、ボナベントゥーラだった。冨安はすぐ警戒して前を向き、シュートコースを塞ぎにかかる。ところがクオリティの高い選手を前にそういうミスをすると、何が起こるか。利き足の右でのシュートコースを消されても、左に持ち替えて打ってきた。このボールに絶妙な回転が掛かり、ゴールへと吸い込まれてしまった。

 逆サイドからのクロスに対し甘いクリアをしてしまい失点に絡んだのは、インテル時代の長友佑都も時折やったミスだ。不振でもやはり強豪、こういうミスは見逃してくれないのである。その後ボローニャは反撃に出てPKで1点を返すことができただけに、余計に手痛い失点となってしまった。

 攻撃面でのアグレッシブさは影を潜め、後半38分にクロスをあげた場面が唯一の見せ場。さらにはカウンターに出た相手を倒してしまい、イエローカードも喰らってしまう。テオ・エルナンデスにスピードで振り切られた場面もあった。前節のナポリ戦からは一転、冨安にとってはちょっと辛い内容の試合になってしまった。

 冨安はパルマ戦後「体の向きなどについて細かく言われる」と語っていた。3失点目の場面は、そういうところの課題が出た試合ではなかったか。セリエA初挑戦ながら堂々と戦ってきた彼だが、まだ21歳。こういう経験を糧にしながら、安定感のあるDFに成長できるかどうか。

(取材・文:神尾光臣【イタリア】)

【了】

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