南野拓実を間近で見る地元記者のリアルな評価は…。「彼はザルツブルクの全て」、リバプール移籍は間近に

UEFAチャンピオンズリーグでセンセーショナルな活躍を見せた、南野拓実のリバプール移籍が現実味を帯びてきた。加熱する報道をザルツブルクの地元記者をどのようにみているのだろうか。「彼はザルツブルクの全てだ」と今季の急成長を称賛する一方で、慎重な見解も示している。(取材・文:本田千尋【オーストリア】)

2019年12月15日(Sun)10時30分配信

text by 本田千尋 photo Getty Images
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具体的な数字が並ぶ南野拓実の移籍報道

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リバプール移籍が近づく南野拓実【写真:Getty Images】

 リバプールが南野拓実の獲得に向けて動いているという。12月10日に行われたUEFAチャンピオンズリーグ(CL)のグループステージ最終節で、日本代表FWが所属するザルツブルクがリバプールに敗れると、英国メディアを中心に“報道”が熱を帯び始めた。

 すると12日、所属先のRBザルツブルクは、公式ツイッターでクリストフ・フロイントSDの「現在リバプールFCと話し合いを重ねている」というコメントを発表。ザルツブルク側は、南野の移籍に関して、リバプール側と交渉が進んでいることを公に認めたのである。

 そして翌日の英『ガーディアン』電子版は、木曜(12日)の夜に725万ポンド(約10億円)で交渉が合意に達し、南野が“レッズ”に加入する日は来年の1月1日とも報道した。また、小見出しで「リバプールは5年契約で話し合いを進めている」とも記しており、具体的な数字が並ぶ。

 同電子版は、ユルゲン・クロップ監督率いるマージーサイドのクラブが「忙殺的な過密日程」に直面していることも紹介。はっきりそうとは記していないが、1990年以来のプレミア制覇、CL連覇に向けて、カラバオ・カップやFAカップも残す殺人的なスケジュールを乗り切るために、南野のような新戦力が必要と考えているようだ。

現地記者は「急成長を遂げた」南野拓実を絶賛

 このように“報道”は英国メディアが中心だが、それでは今回の移籍劇を、現地オーストリアのメディアはどのように捉えているのだろうか。

 14日、TSVハルトベルク対ザルツブルクの試合が行われたプロファーティル・アレナのプレスルームで、ザルツブルクの地元メディア『クローネン・ツァイトゥング』の記者、クリストフ・ニスター氏が答えてくれた。なお、この試合で南野は、太腿の問題でベンチ外となっている。

 まずニスター氏は、渦中の日本人FWを賞賛する。

「彼はザルツブルクの全てだ。とにかく重要な選手。全ての(攻撃的な)ポジションでプレーすることができる。今の監督になって、すごく成長している。それまでは必ずしもレギュラーではなかったが、今季、急成長を遂げたね。チームで重要な3人の選手のうちの1人だ」

 ニスター氏によれば、今シーズンからザルツブルクの指揮官に就任したジョゼ・マーシュ監督の下で、南野は「急成長を遂げた」という。そして、今では「チームで重要な3人の選手のうちの1人」だと言う。つまり、ブレイク中の19歳のFWアーリング・ハーランド、韓国代表FWファン・ヒチャンと並び、ザルツブルクの根幹をなす選手ということだろう。

「ミナミノの実際の評価はもっと高い」

 また、オーストリア国内での南野に対する評価も、極めて高いとのことである。ニスター氏は「国内でベストの選手の1人」と言う。

「今季はとにかく高い、素晴らしい評価だ。チームにとって重要だし、ブンデスリーガでとてもいいプレーをしている。リバプールに移籍したら残念だけど、契約解除金が低いから取られてもしようがないね。理解できる。ミナミノの実際の評価は、定められている金額よりも、もっと高いと思う」

 報道では約10億円とされている南野の移籍金。ニスター氏は、24歳の日本人FWの価値はそんなもんじゃない、とでも言いたげだった。間近でオーストリア・ブンデスリーガを、ザルツブルクを、そして南野を観てきたからこその意見と言えるだろう。

 このように、今やザルツブルクの顔といっても過言ではない日本人アタッカーを手放しで褒め称えるニスター氏。だが、南野がリバプールで出場機会を得られるかどうか、という話になると、慎重な姿勢を崩さなかった。

「もちろん周囲の選手のレベルは、ザルツブルクに比べて高くなるから、試合に出るチャンスを得るのは難しくなると思う。特に中盤はスターが多い。監督のクロップ自身が南野を評価しているから、クロップのサッカーには合うんじゃないかな。だけど、選手たちの質が高いから、試合に出られるかは分からない」

ザルツブルクから巣立つ日は近い

 確かに、前線の3枚、サディオ・マネ、モハメド・サラー、ロベルト・フィルミーノの牙城を崩すのは難しそうだ。中盤にもジョルジニオ・ワイナルドゥム、ジェイムズ・ミルナー、アレックス・オックスレイド=チェンバレン、ナビ・ケイタといった各国代表の実力者たちがひしめく。

 仮に南野のリバプールへの移籍が実現したとしても、ニスター氏が言うように、出場機会を得ることは簡単ではないかもしれない。しかし、『ガーディアン』紙が記すように、これからリバプールは過酷な日程を乗り切っていく必要がある。試合数の多さを考えれば、冬に入ってきた新戦力にも出場機会は与えられそうだ。そして、アグレッシブにボールを奪いに行く、縦に速く攻める、といったクロップ好みのスタイルの中で成長したことを考えれば、戦術面での適応はスムーズに運びそうである。

 もちろん正式には何も決まっていないので、現時点で南野のリバプールにおける出場の可能性をあれこれと探っても、意味はないだろう。しかし、ニスター氏の見解を踏まえれば、15年1月にセレッソ大阪から加入した日本人FWは、およそ5年の月日を経て、オーストリアの地で十二分に成長したと言える。行き先がどこであれ、ザルツブルクから巣立つ日は近いようだ。

(取材・文:本田千尋【オーストリア】)

【了】

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