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中島翔哉、ポルトでの信頼と評価はうなぎ上り。家族の存在が後押しに…22日に年内最終戦

text by 編集部 photo by Getty Images

中島翔哉
ポルトに所属する日本代表MF中島翔哉【写真:Getty Images】

 ポルトにおけるMF中島翔哉への信頼が急速に高まっている。現地19日に行われたポルトガルカップの5回戦、サンタ・クララ戦で加入後初ゴールを挙げた日本代表アタッカーは「10番」のポジションで輝き始めた。

 シーズン当初は左サイドでの起用がメインだったが、なかなかポルトの戦術に馴染むことができず苦しんでいた。9月半ばのポルティモネンセ戦では守備時の緩慢さが失点につながってしまい、セルジオ・コンセイソン監督から試合後のピッチ上で厳しく叱責された。

 その後、守備意識に関しては明らかな改善が見られ、献身的な姿勢は高く評価されたものの、本来求められている攻撃面でなかなか結果がついて来ず、出場時間も伸びていかなかった。厳しい状況に変化が起き始めたのは、12月に入ってからだった。

 今月8日に行われたポルトガル1部リーグ第13節のベレネンセス戦、チームの出来が低調かつドローに終わった中、途中出場した中島はゴールの可能性を感じさせるプレーを披露した。するとどう16日に行われたリーグ第14節のトンデラ戦に先発起用され、2ゴールに絡む活躍で3-0の快勝に貢献する。

 そして迎えた19日のカップ戦で再び先発出場のチャンスを与えられ、公式戦出場17試合目にして初ゴールを挙げた。この活躍に現地メディアも沸き立ち、翌朝の大手スポーツ紙がこぞって中島の写真を1面に掲載。採点でも軒並みチーム内最高の評価が与えられ、「ようやくチームの一員になった」「再びコンセイソンの信頼を獲得した」など相次いで絶賛された。

 今月になってパフォーマンスが著しく向上した大きな要因として、コンセイソン監督は「家族がポルトガルに来たこと」を挙げている。中島の妻は8月末に日本で出産したが、ポルトガルに戻ってきておらず「彼女を密接にフォローすることができなかったため、ナカはプレーするための完全な安心感を得られていなかった」と『オ・ジョーゴ』紙のアンドレ・モレイラ記者は自身のコラムに記していた。

 さらに家族の存在で精神的な安定がもたらされただけでなく、加入後から毎日受講しているとされていたポルトガル語レッスンの甲斐があり、語学力の飛躍的な向上が日々の練習や試合に反映されてきていると『オ・ジョーゴ』紙は伝えている。

 ポルティモネンセ時代はシュート11本あたり1つのペースでゴールを決めていた中島だが、ポルトでは22本目のシュートが最初のゴールとなった。トンデラ戦からトップ下の「10番」ポジションで起用されるようになり、プレーの迫力が増してきている。今後は武器としている中長距離のシュートからのゴールを、これまで以上のペースで決めていくことが期待される。そうなれば鬼に金棒、止められない選手となれるはずだ。

 ポルトは現地22日(日本時間23日4時15分キックオフ)、年内最後の公式戦に臨む。チーム内では最も優先度が低く、次のラウンドに進めることもほぼ決まった状態で迎えるリーグカップだ。相手は2部のシャベスということもあり、過密日程も考慮すればスタメンは控えメンバー中心の構成になるだろう。

 リーグカップはこれまで中島にとって主戦場だった大会。シャベス戦でスタメンから外れることが、ある意味で主力定着に向けた自らの証明になりうる。とはいえ、もし出番が訪れれば継続して結果を残し、うなぎ上りに高まる自らへの評価を確立して2020年に向かいたいところだ。

【了】

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