ユベントスはなぜ姿を消したのか? C・ロナウドの活躍も水の泡…二つの大きな問題点とは【欧州CL】

チャンピオンズリーグ(CL)・ラウンド16の2ndレグ、ユベントス対リヨンが現地時間7日に行われ、2-1でホームチームが勝利。しかし、アウェイゴールの差でリヨンがベスト8に駒を進めることになった。一方のユベントスは2015/16シーズン以来となるベスト16敗退。何が問題だったのか。(文:小澤祐作)

2020年08月08日(Sat)11時30分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
Tags: , , , , , , , , , , , , , ,

伏兵リヨンを前に撃沈

ユベントス
ユベントスのリヨン戦スターティングメンバー

 ユベントスは前人未到のセリエA 9連覇を果たしたが、そこにマッシミリアーノ・アッレグリ監督時代のような魅力的な強さはなかった。このままでは欧州での戦いは厳しいだろうなと感じた人は、決して少なくなかったはずだ。

【今シーズンの欧州CLはDAZNで!
いつでもどこでも簡単視聴。1ヶ月無料お試し実施中】


 そして、その嫌な予感は残念ながら的中してしまった。現地時間7日、チャンピオンズリーグ(CL)・ラウンド16の2ndレグでリヨンと対戦したユベントスは2-1で勝利。しかし、敵地での1stレグを0-1で落としていたため、アウェイゴールの差により2015/16シーズン以来となるベスト16敗退が確定した。

「今夜は素晴らしい試合をした。PKにより冷静さを失ってもおかしくなかったが、2-1と逆転してさらに3回か4回チャンスを作った。敗退により大きく失望していなければ、今夜のパフォーマンスに満足していただろう」。

 リヨン戦後のマウリツィオ・サッリ監督によるコメントだ。かなりポジティブな言葉が並んでいるが、説得力はあまりないと言える。確かに勝利は収めたが、少なくとも決して「素晴らしい試合」ではなかったからだ。

 ユベントスはこの試合でも4-3-3のフォーメーションを採用していた。負傷の影響で先発入りが叶わなかったパウロ・ディバラの代わりにゴンサロ・イグアインがスタメン入り。その他はいつも通りのメンバーとなった。

 最低でも1点が必要なユベントスにとっては立ち上がりからボールを握り、流れをすぐに引き寄せたかったところ。前半のうちに得点を挙げられれば、その後の試合展開にも少し余裕が生まれることは明らかだった。

 しかし、ユベントスのプランはすぐに崩れてしまった。12分、ホームチームはリヨンに痛恨のPK献上。これをメンフィス・デパイに沈められ、2戦合計スコアを0-2とされてしまったのだ。

 ペナルティエリア内で倒されたのはウセム・アワール。最初は同選手へスライディングタックルを仕掛けたロドリゴ・ベンタンクールのファウルかと思ったが、後になってその直前のフェデリコ・ベルナルデスキによるファウルだったことがわかった。ただ、ベルナルデスキも大きく足を出しているわけではなく、少々疑問の残るPK判定となった。

 いずれにしても、ユベントスは1点を失った。この時点で最低でも3点を奪わなければならない。ホームチームは当然ながら、前に出る。しかし…。

リヨンの鉄壁ディフェンスに苦戦

ユベントス
【写真:Getty Images】

 ユベントスとの1stレグ以降、3バックをベースに戦っているリヨンの壁はかなり分厚かった。守備時はウイングバックを下げて5-3-2の形で守るが、ただただ引くだけでなく、恐れず積極的に前に出るシーンも目立っている。選手個々が対人戦に強く、自陣に侵入してきた相手から確実にボールを刈り取った。

 アドリアン・ラビオやベンタンクールといったインサイドハーフの選手が果敢に前へ出てくるが、そこは同じくインサイドハーフのアワールとマクサンス・カクレの両者が懸命なプレスバックでしっかりと蓋をする。少し対応が遅れた際にはアンカーのブルーノ・ギマランエスが気を利かせてカバーに回るなど、リヨンは中央でほとんどユベントスに仕事を与えていない。最終ラインと中盤の距離感も非常に良いので、サンドする形でボールを奪うシーンも目立っていた。

 こうなると、ユベントスはサイド攻撃が中心となる。クロスを次々とクリスティアーノ・ロナウド目がけて放り込み、何とかリヨン守備陣をこじ開けようとした。しかし、あまりに単調な攻めであり、クロスはことごとく跳ね返される。ほとんどこの繰り返しであった。

 ただ、ユベントスは43分にこれまた不可解な判定でPKを獲得。これをC・ロナウドが冷静に沈め、何とか前半のうちに同点に追いついた。そして、60分には追加点。ペナルティエリア外からC・ロナウドが強烈なミドルシュートを放ち、これがゴールネットに突き刺さったのだ。

 ベスト8入りへあと1点と迫った。しかし、それでも流れの中から得点の気配を感じることはできなかった。リヨンは1-2とされた時点で完全に守備重視。攻撃はもはや捨てたと言っても過言ではなかった。そんな相手を前にしたユベントスはボールこそ保持するものの、テンポアップの機会を探し続けるばかりでなかなかGKアントニー・ロペスを襲うことができない。むしろ3点目が迫ったことにより、やや焦りの色が出始めていた。

 その状況を見たサッリ監督は71分、ついに攻撃の要であるディバラを投入。しかし、そのわずか13分後に怪我でピッチを後に。交対策も全然ハマらなかった。

 結局、この日も迷いのある攻撃に終始した。奪った2点はPKとC・ロナウドの個人技によるもの。リヨン守備陣を崩せたシーンは果たして何度あっただろうか。リーグ戦で露呈した課題をそのまま引きずってしまったがゆえの結果と言える。

二つの大きな問題点

 また、この日のユベントスには大きな問題点が二つあったと言える。一つは、右サイドバックのファン・クアドラードだ。

 先述した通り、この日のリヨンは守備時に5-3-2の形になる。両ウイングバックが下がるため、ユベントスのサイドバックがそこまでプレッシャーを受けることはない。少し余裕を持ってボールを持つことができた。

 実際、この日のクアドラードはチーム内3番目に多い84回のタッチ数を記録している。左サイドバックのアレックス・サンドロは同97回でチーム内2番目の成績と、サイドバックへボールを預けやすい状況になっていたのは、データからも明らかとなっている。

 しかし、クアドラードはクオリティの低さを露呈。本職サイドバックではなく、もともとパスなどに定評がある選手ではないが、あまりに軽率なミスが目立った。クロスも正確性は十分とはいえず、対峙するウイングバックが低い位置まで下がっているため、持ち味である縦への推進力も活かせない。

 最もボールを持つことができる選手が、まったくと言っていいほど仕事を果たせない。これでは、ユベントスの攻撃がなかなか組み立てられないのは当たり前である。クアドラードはダニーロとの交代時に不満な表情を浮かべたが、ベンチに下がるのは妥当だったと言える。

 二つ目の問題点はやはりイグアインと言えるだろう。この日は負傷の影響でベンチスタートとなったディバラに代わりピッチに立ったが、パフォーマンスはまさに「最悪」だった。

 とにかく前線での動き、存在感が皆無で、ボールが来てもバックパスの連続&ミスとリヨン守備陣にとってまったく怖い存在ではなかった。流れの中でC・ロナウドとポジショニングが被り相手に守りやすい状況を提供するなど、良いところが一つもなかった。最前線の選手がこれほど沈黙してしまうと、チームとして苦しむのは必然と言える。

 イグアインはこの日、わずか26回のタッチ数に終わった。これはGKヴォイチェフ・シュチェスニーを除いたスタメン組の中で最低の数字である。リヨン守備陣に大きな余裕を与えてしまったと言わざるを得ない。

 ユベントスの今シーズンはこれで終了。主将のレオナルド・ボヌッチは「メインの目標はリーグ優勝。それは成し遂げた」と語っているが、サポーターは納得しないだろう。当然、この後はサッリ監督の進退についての報道が多々出ると予想されるが、果たしてクラブはどのような判断を下すのだろうか。

(文:小澤祐作)

【了】

新着記事

↑top