レアルもバルセロナも番狂わせの理由は…? 久々に猛威を振るうもう1つの“ウイルス”、浮き彫りになった両軍の課題

レアル・マドリードとバルセロナが、国際Aマッチウィーク明け最初の試合で揃って敗れた。前者は昇格組のカディスに、後者は1試合限定でクラブ名を変更したヘタフェに、ともに0-1で屈した。一体なぜ、このタイミングで番狂わせが起こったのだろうか。そして、敗戦から見えてきた2強の課題とは…。(文:舩木渉)

2020年10月18日(Sun)13時07分配信

text by 舩木渉 photo Getty Images
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兄弟対決は意外な結末に…

ナチョ・フェルナンデス
【写真:Getty Images】

 全く予想しなかった結末によって、意図せず重要なものがあぶり出される…というのを一度は経験したことがあるのではないか。

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 今週、スペインでは、ある兄弟対決にスポットが当たった。レアル・マドリードに所属するDFナチョ・フェルナンデスと、カディスに所属するMFアレックス・フェルナンデスの再会である。

 ともにマドリーの下部組織出身の2人は、7シーズンぶりに同じピッチの上に立った。弟アレックスがエスパニョールでプレーしていた時期に何度か古巣対戦はあったが、兄ナチョと同時に出場していた時間は1試合、78分間しかなかった。

 レアル・マドリード・カスティージャ(Bチーム)時代に、2人は計73試合、5000分近くにわたって同じピッチに立って戦った。にも関わらず、弟アレックスが2部を主戦場にしていた時期が長かったこともあって、プロになってからは対戦の機会はほとんどなかったのだ。

「マドリーはサッカー選手としての全てを僕に与えてくれた。そして今回の試合では、僕の模範でありアイドルでもあった兄とも対戦することになる。純粋に試合を楽しみたい」

「僕たちはプロフェッショナルでなければいけないし、誰もが自分たちのものを守り抜くために戦う。例えば彼が90分にゴールを決めなければいけなかったり、逆に僕が92分にPKを蹴らなければいけなかったとしても、互いに勝利をもたらすためのプレーをする」

 2歳年下の弟は、古巣マドリー戦を前に『マルカ』紙でこのように語っていた。2人は久しぶりの兄弟対決を心の底から楽しみにしていたはずだ。

 実際にそのチャンスは訪れた。現地17日に行われたラ・リーガ第6節のマドリー対カディスで、ナチョもアレックスも先発メンバーに名を連ねることに。兄はマドリーの右サイドバック、弟はカディスの左サイドMFに入り、システム上はマッチアップする配置にもなった。

 ただ、試合後の感情は複雑だっただろう。マドリーは昇格組のカディスに0-1で敗れて意気消沈。一方、アレックスはマドリーのBチーム時代に兄ナチョと同じユニフォームを着て戦った思い出深いエスタディオ・アルフレッド・ディ・ステファノで、大金星を勝ち取った。

レアルもバルサも無得点

リオネル・メッシ
【写真:Getty Images】

 序盤からマドリーの選手たちはどこか重そうで、全体的に緩慢なプレーが目立った。最初のビッグチャンスはカディスに生まれ、アルバロ・ネグレドのシュートを無人のゴール前でセルヒオ・ラモスがなんとか掻き出して難を逃れる。

 だが、16分にゴールが決壊してしまった。ネグレドが後方からのロングボールを頭で落とすと、一瞬気を抜いたセルヒオ・ラモスの戻りが遅れ、フリーになっていたアントニー・ロサーノに先制点を奪われてしまう。

 すると煮え切らない展開に、ジネディーヌ・ジダン監督はハーフタイムで「4枚替え」を敢行。セルヒオ・ラモス、ルカ・モドリッチ、イスコ、ルカス・バスケスの4人を下げ、エデル・ミリトン、カゼミーロ、フェデリコ・バルベルデ、マルコ・アセンシオを投入した。

 後半もマドリーがボールを支配する展開には変わりなかったが、同点ゴールを奪えず。カリム・ベンゼマの決定的なシュートもクロスバーを叩き、王者が昇格組に屈する格好となった。試合後、ジダン監督は「言い訳はない。カディスを祝福しなければ」と負けを認め、「フィジカル的に試合にうまく入れなかった。前半でリズムが作れなければ、展開は難しくなる」と試合の入りの悪さを悔いた。

 この大番狂わせの後に隣町のヘタフェで行われた試合では、バルセロナも痛恨の敗戦を喫していた。1試合限定でクラブ名を「ヘタフェ」から、スペイン語で「信仰心」を意味する「フェ」に変更していた相手に、無得点に終わったのである。最終的にはフレンキー・デ・ヨングが後半に与えてしまったPKがフェの決勝点につながった。

 フェのサッカーがある種の「信仰心」に支えられた前時代的とも形容されるような肉体的負荷の強いものだったことを差し引いても、バルサの選手たちのコンディションは決して万全ではなかった。

 ブラジル代表帰りのフィリッペ・コウチーニョをベンチに置かなければならなかったのみならず、最も顕著だったのはリオネル・メッシの重さだ。代表活動を終えてアルゼンチンからプライベートジェットで戻ってきたエースは、いつもに比べて明らかに決定的な働きが少なかった。

1年ぶりに猛威を振るう「FIFAウイルス」

ジネディーヌ・ジダン
【写真:Getty Images】

 マドリーとバルサが揃って敗れたのは、ちょうどFIFAが定める国際Aマッチウィークによる中断明け最初の試合ということになる。先月の同期間に代表戦が組まれていたのは欧州だけだったため、さほど影響は感じなかったが、やはり南米やその他の地域の国の代表活動も再開した今月は違った。

 約1年ぶりということもあって忘れかけていたが、約2週間の代表活動に合流し、そこで2試合ないし3試合をこなして戻ってきてすぐの所属クラブでの試合は波乱が起きやすい。それだけでなく負傷者やコンディション不良も続出するため、代表帰りのアクシデントはしばしば「FIFAウイルスに侵された」と表現される。

 新型コロナウイルスの影響が広がり続ける中で不謹慎なのは承知だが、いま各国のビッグクラブは2種類の「ウイルス」との戦いも強いられているのである。もちろんマドリーやバルサも例に漏れず、大きな打撃を受けた。

 そして浮き彫りになったのは、一部の選手たちへの依存度が高い両軍の課題だ。マドリーであればセルヒオ・ラモスやカゼミーロのパフォーマンスが落ちると、チームの出来も必然的に悪くなることが改めて示された。攻撃面においてはカリム・ベンゼマにおんぶに抱っこな現状もあり、代表戦のなかった彼の存在感の大きさが際立った。

 しかも、セルヒオ・ラモスはカディス戦の前半に負傷していたようだ。ジダン監督は試合後に「些細なものだが厄介だ。明日、確認したい」と離脱の可能性を示唆していた。もし少しでも離脱となれば、あまりに大きな痛手だ。

 バルサはやはりメッシである。この背番号10がピリッとしなければ、全体がうまく回らない。アントワーヌ・グリーズマンもウスマン・デンベレも、そのほかの選手たちも、常にメッシを見て動いているから尚更だ。また、コウチーニョやアンス・ファティ、ジョルディ・アルバなども含めた“1stユニット”の選手たちが欠けると、控えのクオリティが著しく下がることも今季の頭痛の種になるだろうか。

 今週はUEFAチャンピオンズリーグ(CL)が開幕するため、休んでいる暇はない。バルサは現地20日にハンガリーのフェレンツバロシュと、マドリーは同21日にウクライナのシャフタール・ドネツクと、それぞれホームで対戦する。

 そして週末の24日には、両者が直接激突するエル・クラシコが控えている。今節の敗戦からマドリーのジダン監督とバルサのロナルド・クーマン監督が、敗戦から何を見出し、それぞれのチームをいかに立て直してくるか注目したいところだ。

(文:舩木渉)

【了】

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