リバプールは非常事態をどう切り抜けたのか? ファンダイク&アリソン不在、アヤックス撃破の救世主は…【欧州CL】

UEFAチャンピオンズリーグ・グループステージ第1節、アヤックス対リバプールが現地時間21日に行われ、0-1でリバプールが勝利した。フィルジル・ファンダイクが長期離脱となり、アリソンも肩を負傷。2人の守備の要を欠く中で、リバプールはどのようにして難敵を倒したのか。(文:加藤健一)

2020年10月22日(Thu)10時38分配信

text by 加藤健一 photo Getty Images
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非常事態のリバプール

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【写真:Getty Images】

「彼はピッチの中だけでなく、ピッチ外でも重要な選手。加入したときからチームのリーダーだった」

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 ジョルジニオ・ワイナルドゥムは、オランダ代表とリバプールで長くプレーするフィルジル・ファンダイクをそう評している。

 しかし、ファンダイクはピッチにいない。17日に行われたエバートンとのマージーサイドダービーで相手GKと衝突し、右膝の前十字靭帯を損傷。復帰時期は未定だが、手術を受けることが決まっており、長期離脱になる見込みだ。18年1月に加入して以来、チームがファンダイクを欠くのはこれが初めてで、大黒柱の不在は非常事態である。

 リバプールにとっての問題はそれだけではない。GKのアリソンは練習中に肩を負傷、アレックス・オックスレイド=チェンバレンも復帰はまだ先。さらに、怪我から復帰したばかりのジョエル・マティプと、ギニア代表に参加したナビ・ケイタはこのオランダ遠征に参加せず。チアゴ・アルカンタラはエバートン戦でタックルを受けて負傷し、アヤックス戦のベンチから外れている。

 リバプールはアヤックス戦のベンチメンバーに、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)でプレーしたことのない10代の選手を5人も入れなければならなかった。さらに、ジョーダン・ヘンダーソンは90分プレーできるフィットネスではないためにベンチスタートとなり、19歳のカーティス・ジョーンズが欧州デビューを飾っている。

 簡単な試合にならないことは、選手も指揮官も容易に想像できたはずだ。

両指揮官の戦略は…

 アヤックス視点で見れば、リバプール撃破まであとわずかのところまで追いつめている。

 ディフェンスは機能していた。リバプールのビルドアップに対して、ウイングとセンターフォワードが立ち位置でコースを塞いだ。普段のセンターバックではなくアンカーで起用されたダレイ・ブリントは、ロベルト・フィルミーノをマンツーマンでマークし、チャンスメイクの出どころを封じている。

 決勝点となったのは、35分に生まれたニコラス・タグリアフィコのオウンゴール。サディオ・マネのシュートは枠を外れていたが、利き足に当てたボールは自軍のゴールネットを揺らしてしまった。

 シュート本数もリバプールの15本に迫る12本を記録し、決定機も作っている。しかし、ドゥシャン・タディッチのループシュートはファビーニョにゴールライン際でクリアされ、デイヴィ・クラーセンのシュートはポストに弾かれた。

 この日のアヤックスは運に見放されていた。しかし、一昨シーズンにCLベスト4へとアヤックスを導いたエリック・テンハーグ監督は、リバプールに対抗する術を心得ていた。

 しかし、ユルゲン・クロップ監督の采配も的確だった。後半になると試合はオープンな展開となり、アヤックスにボールを握られる時間も長くなる。すると、61分に3トップを一気に交代させるという大胆な交代策に踏み切った。

 右からジェルダン・シャキリ、南野拓実、ディオゴ・ジョッタが並べられた。守備では両ウイングが落ちて4-5-1のブロックを築き、攻撃に転じれば広大なスペースを突いた。フレッシュな3人を同時に入れるという策は大胆でありながら、実に理にかなっていた。

ファビーニョが殊勲の活躍

 後半はアヤックスにボール保持率で上回られながらも、リバプールはクリーンシートを達成した。とりわけこの試合で輝いていたのは、ファンダイクの代わりにセンターバックを務めたファビーニョである。

 アンカーで発揮していた持ち前のボール奪取能力は最終ラインでも変わらず、タックルとインターセプトを4度ずつ成功させた。本職さながらのカバーリングでピンチの芽を摘み、ほぼ初めてだというジョー・ゴメスとのコンビもそつなくこなしていた。

「トッププレーヤーなら適応できるし、彼はそれをやり遂げた」とファビーニョを称賛したのはジェームズ・ミルナーだが、彼自身のパフォーマンスも素晴らしかった。ヘンダーソンに代わってアームバンドを巻き、ともに両チーム最多となるタックルとインターセプトをマーク。中盤のディフェンスを引き締め、幾度となくカウンターの起点となっていた。

 アヤックス戦の1-0は決して辛勝ではない。ワイナルドゥムやファビーニョが本職ではないポジションで奮闘し、ジェームズ・ミルナーはボール奪取能力を如何なく発揮。代わって入った選手も課された役割を献身的にこなした。大黒柱を欠く中でも、ピッチに立った選手が出しうる力を最大限発揮して掴んだ勝利だった。

(文:加藤健一)

【了】

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