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なぜマンCの攻撃は封じられたのか? 策に溺れたグアルディオラ監督が解決できなかった問題とは…【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

マンCが後半に見出したヒントとは…



 シティはピッチ上で解決できないので、選手を変えるしかなかった。アントニオ・リュディガーと衝突し、無念の負傷交代となったデ・ブライネに代えてガブリエウ・ジェズスを最前線に置く。64分にはフェルナンジーニョを入れて、ギュンドアンを1列前に上げる。シティが得点に近づいたのはこの時間帯だった。

 68分には数少ない決定機を迎える。ジェズスのポストプレーからフォーデンが前を向いた。マフレズの右からの折り返しはセサル・アスピリクエタにクリアされたが、チェルシーを崩した貴重なシーンだった。サイドで深さが作れなければ、中央で起点を作ればいい。シティはここで大きなヒントを得ている。

 しかし、セルヒオ・アグエロを入れて、幅を取る役目はウイングからサイドバックへと引き継がれた。前線のインサイドに3人が並んだことで、前線は渋滞。ギュンドアンがフリーランニングするスペースもなくなってしまった。ポジショニングも固定的で、前半の課題は再び浮き彫りとなっている。

 いくら配置を変えても、動きに乏しいこの日のシティにはいくら時間があっても崩せなかっただろう。グアルディオラ監督の創意工夫も無益だった。

 膨大な分析をもとに戦略を立てるが、相手がいる以上、それがうまくいかないこともある。悪かったのはシティの作戦ではなく、試合中に起きた問題点を修正できなかったことだろう。シティは1年前と同じように、策に溺れたまま抜け出せなかった。

(文:加藤健一)

【了】

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