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EURO2020 3年前

ドイツ代表はなぜ危険な状況に追い込まれたのか。“ゲルマン魂”が燃え上がるまでに犯した「過ち」とは【ユーロ2020分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

ドイツ代表が犯した2つの過ち



 1つは、早い時間帯での失点だろう。11分と前半の早い時間に失点した様子は、まるでポルトガル代表戦のデジャヴ。試合前の会見で、ハンガリー代表の強固な守備ブロックを警戒したレーブ監督は「我々はゴール前であまりチャンスがないという事実に備える必要がある。50、60、70分過ぎに彼ら(ハンガリー代表)を疲れさせる必要があるね」と語っていた。

 ドイツ代表指揮官は、試合を支配して0-0のまま時計の針を進め、ボールを動かし続けてハンガリー代表を疲れさせ、後半に得点を決めに行くゲーム・プランを描いていたのだろう。だが、その目論見は、早い時間帯の失点で早々に崩れることになってしまった。

 特に一発勝負の決勝ラウンドでは、このような失点はゲーム・プランの崩壊を招くだけでなく、敗戦に直結する可能性がグループリーグよりも大きくなる。初戦のフランス代表戦では、20分のフンメルスのオウンゴールによる失点を、最後まで覆すことができなかった。そういった意味で11分の失点は、やはり「過ち」と言えるだろう。

 そしてもう1つは、カウンタープレスが機能しなかったことだ。このハンガリー代表戦では、基本的に高い位置でボールを奪い返すことができていたドイツ代表だが、失点の場面では、なぜかぽっかりと穴が開き、カウンタープレスが機能しなかった。

 だからこそ11分と早い時間帯での失点を招き、同点に追い付いた直後の68分に失点を招いたとも言える。ボールを保持して敵陣で試合を進めようとすれば、ロスト時の即時奪回は必須。カウンタープレスを徹底できず、危うい試合展開を招いたことは、もう1つの「過ち」と言えるだろう。

 グループF最終節で、レーブ監督は選手交代と布陣変更で手腕を発揮し、ドイツ代表は“ゲルマン魂”という「偉大な」メンタリティを再び示した。しかし、決勝ラウンド1回戦のイングランド代表戦に向けて、試合の進め方を含め守備面では課題を残したと言えそうだ。

(文:本田千尋)

【了】

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