評価爆上げイタリア代表が苦戦…スペイン代表は完璧。では、なぜ勝ち切れなかった? 最後まで響いた弱点【ユーロ2020分析コラム】

2021年07月07日(Wed)11時48分配信

シリーズ:分析コラム
text by 小澤祐作 photo Getty Images
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効果的だったオルモの偽9番



 ルイス・エンリケ監督はこれまで同様4-3-3を採用してきた。しかし、前線3枚の並びは少し変化しており、中央にはアルバロ・モラタではなくダニ・オルモが起用されている。その両脇にはミケル・オヤルサバルとフェラン・トーレスが配置されることになった。

 センターフォワードとして出場したオルモは、もちろん典型的なストライカーではなく、いわゆる偽9番としての役割が与えられた。ライン間でうまくポジショニングしながら後方からのパスを引き出し、敵陣をかき乱す。イタリア代表はそんな背番号19をなかなか捕まえきることができず、ズルズルとラインを下げてしまった。

 ウイングのオヤルサバルとF・トーレスは基本外に張っており、オルモやインサイドハーフの選手が使えるスペースを提供している。そして中盤では、ペドリとセルヒオ・ブスケッツがイタリア代表の鋭いプレスをダイレクトパスなどを織り交ぜながら幾度となくかわす。相手に流れを渡さなかった。

 守備時は4-4-2で、まずオルモとオヤルサバルの2枚が相手のセンターバックにプレッシャーを与え、サイドにボールを流させる。そしてもちろん、そこにも素早く寄せて相手の前進を確実に阻んでいた。

 窮屈になったイタリア代表は、GKジャンルイジ・ドンナルンマへのバックパスと縦へのロングボールが必然的に増え、効果的な攻めを繰り出せない。セカンドボールもことごとくスペイン代表に回収された。マルコ・ヴェラッティ、ジョルジーニョ、ニコロ・バレッラという自慢の中盤トリオは、ほぼ守備に回らざるを得ない状況だった。事実、イタリア代表の前半シュート数は1本だ。

 結局この試合は1-1でPK戦にまでもつれ込むことになるのだが、120分間ほとんどを上記のものを徹底したスペイン代表が支配していたと言っても過言ではない。イタリア代表は試合中に“ゼロトップ”対策で守備時の陣形を変えるなどしたが、スペイン代表個々の技術力、そしてとくにオルモ、ペドリ、ブスケッツの絶妙なポジショニングと意識が、その効果を着実に打ち消している。

 スペイン代表は120分間で70%の支配率を記録し、シュート数もイタリア代表の倍以上放っている。組み立て、崩しの両局面でらしさを見せたのは、紛れもない事実だった。

 しかし、スペイン代表にはやはり“あれ”が欠けていたのだ。

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