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久保建英のプレーに表れていた“野心”とは…。ゴールは時間の問題、指揮官の要求もクリア【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

久保建英、前節からの改善は…



 前節は多くの時間をトップ下で過ごした久保だが、この試合ではスタートから右サイドに入っている。2列目の3人の顔触れは一緒だが、ジョルディ・ムブラが右から左、ダニ・ロドリゲスが左からトップ下へポジションを移している。攻撃時は久保が積極的に中央へと顔を出し、味方からのパスを引き出していた。

 スコアが動いたのは27分だった。マルティン・ヴァリエントのロングフィードを左サイドバックのブライアン・オリバンがダイレクトで折り返す。ニーニョのトラップが大きくなったところを相手に掻き出されたが、こぼれたボールを拾ったダニ・ロドリゲスが左足でゴールネットを揺らした。

 先制したマジョルカは、ボールを保持する時間とブロックを形成して守る時間を使い分け、エスパニョールに流れを渡さなかった。68分にはサルバ・セビージャを下げて、中盤の強度を上げる。久保を含め、新加入選手も多く起用されていたが、チームとしての意思統一は図れていたのではないだろうか。内容を見ても、勝ち点3に値する試合だった。

 マジョルカは前節から先発を2人変更しており、ボランチにサルバ・セビージャ、1トップには前節でゴールを決めたニーニョが入っている。先述の通り、ニーニョとのコンビネーションは可能性を秘めている。これに周囲のサポートが加われば、マジョルカの強力な武器になるだろう。

 前節で久保はシュートを放つことができなかったが、この試合では3本のシュートを記録している。1本目は9分で、左サイドからのクロスをファーでヘディング。2本目と3本目は右寄りの位置からミドルシュートを狙っている。特に2本目はあわやゴールという惜しいシュートだった。

 前節に続く先発出場で、久保のチームへの適応は進んでいると言っていいだろう。

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