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C・ロナウドが凄じい。その絶大な効果は? マンチェスター・ユナイテッドにもたらすものとは…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

ユベントス時代からの変化は…



「彼(ロナウド)は進化し、プレーヤーとして成長した。(ここを)去ったときとは異なるプレーヤーになったが、冷静で冷酷なゴールスコアラーであり、大きな場面の匂いを感じ、ゴールを察知している」

 昨季のチーム得点王は18得点をマークしたブルーノ・フェルナンデスだったが、PKによる9得点が含まれている。PKを除けば11得点のマーカス・ラッシュフォードがトップで、スコアラーの不在がウィークポイントだった。ロナウドは戦力的に見ても大きなプラスになることが、この試合で証明されたといえるだろう。

 ロナウドは試合後に「我々はプレミアリーグ、さらにチャンピオンズリーグを勝ち取るためのメンタリティを築き上げる必要がある」と述べた。そして指揮官は「彼(ロナウド)は自分自身に要求し、それがチームメイトや我々への(高い)要求になる。それが彼のキャリアで多くのことを成し遂げた理由だ」と評している。大事な場面で頼れる存在こそが、今のユナイテッドが最も必要としていた存在だった。

 この試合のロナウドはライン間に降りてきてボールを引き出す場面が多かった。ダイレクトで味方に落として攻撃にリズムを与え、味方のためにスペースを作ることを意識しているように見える。8分のシーンでクロスに飛び込んだブルーノ・フェルナンデスは左サイドのサンチョにゴール前に顔を出すように要求していたが、ロナウドが空けたスペースに2列目から飛び込んでくるのがユナイテッドの狙いだったとみられる。

 この日のパス数は45回で、ユベントス時代の33.2回を大きく上回る。チームに合流して日が浅く、細かいパスのタイミングがずれることもあった。1試合だけで判断することはできないが、ユナイテッドの1トップとして求められる役割に適応しようとしている。

 ロナウドが加入したことで、スコアラーという部分が埋まるだけでなく、タイトルを勝ち取るためのメンタリティを注入することができる。この日の活躍は、ユナイテッドの復活を予感させる試合だった。

(文:加藤健一)

【了】

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