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バルセロナの地獄は続く。逸材FW止められず45分間で大崩れ、繰り返す良いところ無しの敗戦【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

公式戦直近5試合で…



 もちろんバルセロナの反省点はそれだけに留まらない。公式戦直近5試合で3度目の無得点に終わった攻撃陣も、やはり猛省しなければならない。

 バルセロナは4-2-3-1でアトレティコに臨み、右サイドハーフにフレンキー・デ・ヨング、左サイドハーフにガビ、トップ下にフィリッペ・コウチーニョ、そして最前線にデパイを配置している。

 ご存知の通り右サイドのF・デ・ヨングはアタッカータイプではなく、ゲームの中ではサイドに張るよりは少し高めのインサイドハーフのような位置を取っている。ベンフィカ戦でも見られたペナルティーエリア内への効果的なランニングは、この日も何度かあった。

 しかし、そこが活きる場面は限られてしまった。さらに右サイドバックのオスカル・ミンゲサにそこまで攻撃力がなく、F・デ・ヨングも中にポジショニングしているので右サイドからの攻撃がほぼ皆無。必然的に左サイドにボールが集まったのだが、中央で窮屈となったデパイも流れてくることでそのエリアは渋滞している。人数がいるだけで、アトレティコ守備陣を崩すだけのアイデアや威力はなかった。

 後半に入りバルセロナは4-3-3に変更。先述した通りアトレティコが守備重視に切り替えたため、より敵陣でボールを持つことができ、右サイドからの攻撃も前半よりは増える格好となった。

 しかし、アイデア不足という根本的な問題は解決されず、攻撃は停滞。足元の勝負が多いにも関わらず1対1で確実に剥がせる選手もいないため、必然的に逃げのパスが増える。唯一、途中出場アンス・ファティが敵陣深くでファウルを受けたシーンにわずかな可能性を感じたが、それ以外はほぼ沈黙していた。

 リオネル・メッシという偉大すぎる男が抜けた後最初のシーズンで、怪我人も多く苦しい状況にあるのは理解できるが、強豪相手にはわずかな希望すら見出せないのが痛すぎるところ。今のバルセロナには残念ながら絶望しか残っていない。代表ウィーク明けにはレアル・マドリードとのエル・クラシコも控えているが…。

(文:小澤祐作)

【了】

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