その額、72億円…! 莫大な利益をもたらす、才能の卵が溢れるのは…【レッドブルの戦略(2)】

2021年12月29日(Wed)9時00分配信

text by カラン・テージワーニ photo Getty Images
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巨大エナジードリンクメーカーがなぜサッカー界に照準を合わせたのか、アンチも注目せざるを得ないその巧妙かつ革命的な戦略史を辿る『エクストリームフットボール』(12月20日発売)より、2章「グローバル展開するレッドブルブランド」を一部抜粋して全3回で公開する。今回は第2回。(文:カラン・テージワーニ)

世界屈指の才能が溢れる場所は…

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【写真:Getty Images】

 彼の成功において転機となったのがザルツブルクだろう。レッドブルがザルツブルクを買収してから今までの歴史を考えても最高の補強になったマネは、当時2部から降格することが決定していたフランスのメツに所属していた。

 彼らはマネのポテンシャルを3部リーグでは発揮させられないと考えており、そこにラングニックによって改革をスタートしたザルツブルクが接触する。スカウトは数カ月マネを視察し、最後はラングニックが自ら補強を決断する。

「私は2012年のリーグカップでトゥールとの試合を視察していた。サディオの活躍は印象的でメツとの交渉ではそれが我々にとってはマイナスになった。メツの会長は強気で、400万ユーロ(約4.8億円)じゃないとサディオを手放さないと主張したんだ。3部の選手を獲得することを考えれば破格すぎる移籍金だったよ」

 そして、ラングニックの勘は補強を大成功させる。マネは87試合で45ゴールを記録し、最終シーズンにはリーグとカップの2冠に貢献する。そして当時の5倍近い移籍金で売却され、チームに莫大な利益をもたらしたのだ。

 そして、レッドブルグループはフランスとアフリカという才能の宝庫に着目するようになる。移籍前の2カ月、マネがチームメイトとしてプレーしたナビ・ケイタも同様に降格したクラブからの掘り出し物だった。

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 当時グローバルな移籍戦略を担当していたジェラール・ウリエはフランスの市場に詳しく、若い選手たちの獲得ルートを切り開いた。ギニア代表のナビ・ケイタも驚くべき才能の持ち主であり、オーストリアで成長するとRBライプツィヒに移籍。そこでもトップレベルの選手としてヨーロッパに名を轟かせると2018/19シーズン開幕前にリバプールが6000万ユーロ(約72億円)で彼を獲得した。

 レッドブルにとってこれらの成功はアフリカのポテンシャルを再認識させるきっかけになった。2人はフランスのクラブから獲得したが、もともとアフリカで育成されてきたプレーヤーたちだ。レッドブルは彼らの源流であるアフリカにはフィジカル面でレッドブルの求めるスタイルに適合し、クラブに多額の移籍金を残せる才能の卵が溢れていると考えたのだ。

 近年、レッドブルのスカウトはガーナやマリ、コートジボワールで選手を視察している。また、元フランス代表監督ジャン・マルク・ギロウの名前を冠するJMGアカデミーも育成に定評があるアカデミーだ。彼らはアルジェリアやエジプト、マダガスカルに拠点を置いている。アマドゥ・ハイダラやモハメド・カマラはこのアカデミー出身だ。「Yeelen Olympique 」というマリ国内では最高のアカデミーともレッドブルは連携している。

(文:カラン・テージワーニ)

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衝撃的ともいえるそのスピードと徹底的なチームの献身性――。レッドブル・ザルツブルク、RBライプツィヒなどの背後に君臨するレッドブルグループは世界中のスポーツ界で勢力を伸ばしつつある。一方でピッチ外でも展開されるマーケティングによって利益を得ることに長けた彼らのアンチも少なくない。巨大エナジードリンクメーカーがなぜサッカー界に照準を合わせたのか、アンチも注目せざるを得ないその巧妙かつ革命的な戦略史を辿る。

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【了】

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