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ラングニック采配がマンチェスター・ユナイテッドを変えた。前後半で全く異なるチームになった理由とは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

またも逃げ切ることに大苦戦


 数的優位となった上に退場したのは相手のディフェンスリーダーと、攻め込むにはうってつけの状況だったユナイテッド。ブルーノ・フェルナンデスとクリスティアーノ・ロナウド、73分にはポグバも加わり、ボール保持時に高いクオリティを発揮する選手たちがピッチで揃った。

 しかし、なかなか追加点を奪うことができず。ブライトンの守護神ロベルト・サンチェスが何度も決定機を阻止したとはいえ、相手のミスから作ったチャンスだった71分の1対1のシーンなどは決めきれなければいけない場面だった。

 最終的には90+7分にブルーノ・フェルナンデスがダメ押しとなるゴールを決めるのだが、もっと早い時間に試合を終わらせるゴールを決めなければいけないし、決めるチャンスは何度もあった。実際にユナイテッドは後半だけで16本のシュートと6本の枠内シュートを放っている。

 この試合でも明らかとなったが、現在ユナイテッドは深刻な決定力不足に陥っている。2022年の年明け以降、今節を含め公式戦8試合を戦っているが、わずか9ゴールに留まっているのだ。シュートの数自体が減っているわけではなく、その間142本ものシュートを放っている。決定率はわずか6.3%とあまりにも低い。(データは『Who Scored』を参照)

 今節の勝利で暫定ながら4位へと浮上したマンチェスター・ユナイテッド。ラングニック暫定監督も試合前の会見で「リーグの4番手こそ我々が成し遂げなければならないものであり、我々が目指しているものだ」と語っている。だが、早急にこの深刻な決定力不足の改善と2点目、3点目を取りに行くというメンタル面の成長がなければ、今後もこの順位を死守することは難しくなるだろう。

(文:安洋一郎)

【了】

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