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久保建英 2年前

久保建英が味わう孤高のエースだけが知る試練。バレンシアの“削り”をも上回る圧倒的なパフォーマンスとは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

バレンシアが講じた「久保建英封じ」とは?



 久保を潰す方法は単純明快だった。ゴールから遠い位置で久保を潰してしまえば、大きなピンチにはつながらない。まずは11分、ウロシュ・ラシッチがセンターライン付近で久保を掴んで止める。16分にはオマル・アルデレーテに倒されたが、カードが出なかったことに抗議した久保にイエローカードが出てしまった。

 バレンシアのファウル覚悟の久保封じは続く。19分にはブライアン・ヒル、23分にはアルデレーテが久保へのファウルでイエローカードを提示された。久保は前半だけで5回もファウルを受けている。

 マジョルカは後半、右サイドバックのパブロ・マフェオに高い位置を取らせることで、右サイドからチャンスを作った。62分にはマフェオに代わってジョバンニ・ゴンサレスが入り、さらに前がかりになる。しかし、マジョルカは最後までゴールネットを揺らすことができず、試合は0-1でタイムアップとなった。

 データサイト『WhoScored.com』によると、久保は攻撃のスタッツでチームトップを独占した。シュート、キーパス、ドリブルはいずれも5回を記録し、ファウルを受けた回数は7回に達した。攻撃的なポジションにも関わらず、ボールタッチ数はチームトップに1差の80回を記録している。

 いかに久保にボールが集まり、久保がチャンスに絡んでいたかが数字からもわかるだろう。52分のジャウメ・コスタのシュートをおぜん立てしたパスは、この試合における久保のハイライトともいえるプレーだった。

 データサイト『SofaScore』によると、久保には8.6という好評価が与えられている。これはスーパーゴールを沈めたパウリスタの8.2を上回り、勝利したバレンシアを含めて最も高い評価だった。リオネル・メッシもこれまでに数多くのファウルを受けてきた。被ファウルの多さは相手に警戒されている証でもある。ある意味では久保に課せられた試練でもあり、これを乗り越えることができれば、ラ・リーガを代表するようなプレーヤーに成長することができるのだろう。

 ただ、久保の活躍がゴールにつながらなかったのには原因がある。

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