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久保建英 2年前

久保建英が味わう孤高のエースだけが知る試練。バレンシアの“削り”をも上回る圧倒的なパフォーマンスとは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

久保建英がゴールを決められなかった原因



 前半の久保はある程度自由を与えられ、左サイドまで顔を出すこともあった。ダニ・ロドリゲスと左右を入れ替えることもあれば、2人が同じサイドに集まってコンビネーションを見せたシーンもある。

 1点を追うマジョルカは、ダニ・ロドリゲスを下げて韓国代表MFイ・ガンインを左サイドに置いた。さらにスピードのあるアマト・ディエディウや得点能力の高いアブドン・プラッツらを入れて前線の枚数を増やしている。

 しかし、ゴール前を固めたバレンシアに対し、マジョルカの攻撃は威力を失った。イ・ガンインは焦りもあったのか、不用意なボールロストやパスミスも見られ、ゴール前を固めるバレンシアの前でアマトの特徴を活かす場面も限られた。中央に3人のFWが並んだことで、久保がゴール前に入っていくことも難しくなり、流動性は失われてしまった。久保やイ・ガンインといった個の力に依存し過ぎたようにも見えた。

 さらにこの試合でマジョルカの足を引っ張ったのは、ホルヘ・フィゲロア・バスケス主審である。ファウル連発のバレンシアをうまくコントロールできず、マジョルカの選手たちはストレスを溜めた。

 勝ったバレンシアも途中出場のイライシュ・モリバがイエローカード2枚で退場に。後味の悪い試合で唯一良かったことは、20日のベティス戦でスライディングタックルを受け、左膝の前十字靭帯を損傷したイニゴ・ルイス・デ・ガラレタのように負傷者を出さなかったことだろうか。

(文:加藤健一)


【了】

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