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アーセナル対リバプール、どこに「差」が生まれたのか? アルテタ監督が「我々はできなかった」と振り返るのは…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

勝敗を分けたポイントとは?


 ジョタの先制点が生まれる直前の51分に両チームの明暗を分けたシーンがあった。

 チアゴ・アルカンタラがGKのアリソンに向けてバックパスを出すのだが、これにアレクサンドル・ラカゼットが反応してパスをカット。一気にアーセナルの決定機となった。

 だが、アリソンの素早い寄せによってラカゼットはシュートを打てず、後ろからサポートにきたマルティン・ウーデゴールにボールを預けた。ウーデゴールはフリーの状態でシュートを打ったのだが、これまたアリソンの素早い寄せに合い、アリソンの右腕に当たったシュートは枠を外れた。

 このシーンでアーセナルが先制点を決めていれば勝者は変わっていたかもしれない。そんな絶体絶命の危機を救ったのがリバプールの守護神アリソンだった。

 絶好のチャンスを決められなかったのは、アーセナルの選手たちの“決定力不足”と言ってしまえばそれでおしまいなのだが、どちらかというとアリソンの寄せの速さと精度を褒めるべきだろう。このシーンが決定機であることは間違いないのだが、シュートコースを完璧に塞いでいたアリソンの存在によって、ゴールを決める難易度は一気に上がった。

 試合を終えて振り返ると、このプレゼントパスを決めきれなかったアーセナルと、後に放った2本の枠内シュートをゴールに結びつけたリバプールという構図になっており、アルテタ監督も「彼らは2つの決定機を、2つとも得点した。我々はそうできなかった」と振り返っている。ボックス内での攻守にわたる質の差が勝敗に直結することとなった。

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