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なぜバルセロナはエル・クラシコで大勝できたのか? シャビ監督がもたらす秩序とレアル・マドリードが犯したミス【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

レアルよりもバルセロナが上回ったのは?



 この試合のレアルと比べると特に顕著だったのは、ボールを持っていない時の振る舞いが、チーム全体として統一されていたことだ。

 ボールを持っていない時に、選手間の距離を適切に保って連動してプレスを掛けることができていた。このような秩序立った守備組織は、シャビ監督が就任して以来、最近になってようやく整ってきたと言えるだろう。中盤にペドリも復帰し、F・トーレス、オーバメヤンら新戦力がフィットしてきたことと相まって、チーム全体の完成度という点で、このクラシコではバルセロナの方がレアルよりも上だった。

 しかし、このクラシコに限って言えば、バルセロナが大勝した最も大きな要因は、アンチェロッティが選択した“奇策”にあったと言えそうだ。他ならぬイタリア人指揮官自身、「この試合で私はミスをした」と認めている。

 モドリッチを「10番」で起用したことで、両ワイドにヴィニシウスとロドリゴがいたものの、前線に選手が不在のレアルの選手たちは、ボールを奪っても出しどころに迷う場面が散見された。いつもはベンゼマがいる場所に誰もいないことで、レアルは攻撃面でも機能不全に陥っていた。よってバルセロナの選手たちも一層のこと、前述のチームとしての守備を機能させることができたと言えるだろう。

 結局、モドリッチの「10番」起用は、レアルのチーム全体を攻守両面において機能不全に陥らせる、“悪手”だったのだ。

 このようにアンチェロッティ監督の「ミス」が引き金となって、クラシコで大勝することが出来たバルセロナ。相手が相手なだけに、この勝利は、近年の暗黒期を吹き飛ばすかのような勢いをチームにもたらすだろう。来季のチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得も見えてきた。

 いよいよ“復活の狼煙”が上がったのかもしれない。

(文:本田千尋)


【了】

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