フットボールチャンネル

アーセナル、不調脱却には何が必要か? 屈辱の3連敗、冨安健洋の復帰が与える影響とは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

サウサンプトンの守備的なサッカーに大苦戦


 今節アーセナルと対峙したサウサンプトンは、アーセナル戦前までの6試合で1分5敗と絶不調に陥っていた。そのうち4失点以上を喫した試合は3つあり、前節チェルシー戦に関してはホームで0-6の完敗を喫していた。

 チェルシー戦で“屈辱”とも言える大敗を喫したサウサンプトンのラルフ・ハーゼンヒュットル監督は、アーセナル戦で守備的な5-4-1のシステムを採用。ライプツィヒの監督時代から攻撃的な4-4-2(4-2-2-2)のシステムを軸に戦っていた同監督だが、まずは守備に重きを置くことで絶不調のチームの立て直しを図った。

 最終ラインの5人と中盤の4人で5-4のブロックを敷き、アーセナルの攻撃陣の前に立ちはだかった。アーセナルが使いたいスペースはあらかじめサウサンプトンの守備陣に埋められているため、崩すことに大苦戦。結果的に23本のシュートを放ったが、ミドルレンジからのシュートが多くを占めた。

 サウサンプトンの守備的なサッカーに苦戦したことは間違いないが、アーセナルに決定機がなかったわけではない。17分には相手のビルドアップのミスをつき、マルティネッリのクロスをゴール前で受けたサカに決定機が訪れるが、枠を捉えた右足のシュートは守護神フレイザー・フォースターが横っ飛びのセーブでボールを枠外へ弾き出した。

 追加招集だったとはいえ、3月の代表戦でイングランド代表に復帰を果たしたフォースターは、このシーンを筆頭に神がかったセーブを連発し、6つの枠内シュートを止めて失点を許さなかった。

 決定機を逃したアーセナルに対し、サウサンプトンは前半終了間際にCKの流れからヤン・ベドナレクがワンチャンスをものにして先制することに成功。「守り勝つ」ためのサッカーをしていたサウサンプトンの思惑通りに試合は進み、後半45分も高い集中力で守り切ったことで1-0の完封勝利を収めた。

 試合後、アルテタ監督は「今日の相手には素晴らしいGKがいたし、我々は人数と状況が揃っている時に相手を崩すだけの能力とクオリティが備わっていなかった」と、敗戦した原因を振り返っている。

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top