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長谷部誠がいなければ…。“危険人物”だった鎌田大地。フランクフルト優勝に寄与した2人の働きとは?【EL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

落ち着きをもたらした長谷部誠

長谷部誠
【写真:Getty Images】



 鎌田は残念ながらレンジャーズ戦の主役になり切ることはできなかった。しかし、フランクフルトにいるもう1人の日本人選手は、それに近い活躍を見事に披露した。そう、長谷部誠だ。

 先述した通り、失点はアクシデントから生まれた。ジブリル・ソウが後ろに反らしたボールを追いかけようとしたトゥタが転倒。そのままアリボに独走を許し、ゴールネットを揺らされてしまったのである。

 重要な場面で転倒してしまったトゥタは、プレー続行が不可能となりそのままベンチへ下がった。ヒンターエッガーも不在の中、ピッチに送り出されたのが長谷部だった。

 実に難しい状況での登場だったことは間違いない。1点ビハインドで勢いは相手。さらにEL決勝という大舞台である。アンスガー・クナウフやイェンス・ペッター・ハウゲがそうだったように、地に足が付かず本来のプレーを発揮できない恐れだって大いにあった。

 しかし、ベテラン長谷部はさすがだった。うまく試合に入り、失点直後で気持ちが下向いていたチームに落ち着きをもたらしている。ファッション・サカラに対して決定的な仕事を与えず、エヌディカやトゥーレのカバーも高質に行った。

 データサイト『Sofa Score』によると、この日の長谷部は地上での1対1で4戦4勝、空中戦でも2戦2勝。つまりデュエルにおいて6戦6勝、勝率100%という驚愕の数字を叩き出していたようだ。さらにタックル成功数は3回、インターセプト1回を記録。また、途中出場ながらパス本数はチーム2位タイとなる49本を記録。ビルドアップ面でもしっかりと貢献していたことがわかるだろう。

 MOMは延長後半にビッグセーブを披露し、PK戦でラムジーのシュートをストップしたトラップで間違いないだろう。しかし、長谷部もそれに匹敵するほどのパフォーマンスを披露したのは事実。経験豊富な元日本代表主将がいなければ、フランクフルトの優勝はなかったかもしれない。

(文:小澤祐作)

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