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長谷部誠がいなければ…。“危険人物”だった鎌田大地。フランクフルト優勝に寄与した2人の働きとは?【EL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

鎌田大地は危険人物と認められた

鎌田大地
【写真:Getty Images】



 そんなレンジャーズ戦におけるフランクフルトの注目選手は、鎌田だった。ここまでヨーロッパリーグ(EL)では得点ランキング4位となる5ゴールをマーク。試合前には英紙『ガーディアン』に「鎌田の創造性」がフランクフルトの長所の一つとして取り上げられており、「(イングランド代表MF)デクラン・ライスですら鎌田を抑えるのに苦労した」と称賛されていた。

 その鎌田は、戦前の予想通りジョバンニ・ファン・ブロンクホルスト監督によって“危険人物”に認定されていた。それはレンジャーズの守備時の対応を見れば明らかだった。

 ファン・ブロンクホルスト監督は、今やサポーターから絶大な支持を集めているという中盤の要ジョン・ランドストラムを鎌田専門のマーカーに指名していたのである。とにかく日本人選手の傍から離れることなく、ボールが収まれば激しく当たりにいく。この役割を徹底していた。

 そのため、鎌田は準々決勝バルセロナ戦や準決勝ウェストハム戦に比べるとかなり窮屈なプレーを強いられている。なかなかボールに触れられない時間帯もあったのは事実だ。

 しかし鎌田も随所でさすがのプレーを披露している。パスが入ればあえて持ちすぎずダイレクトで捌いたり、持ち場を離れて味方にスペースを与えたりと、マンマークを受ける中で工夫を施していた。この日は決定機を2つ逃してしまったが、ゴール前でフリーになっていた場面は多々あったので、もう少しチャンスに絡んでいても不思議ではなかった。

 ランドストラムに疲労の色が見え始めた後半は前向きにボールを持つ機会も増えていた鎌田。結局、ゴールやアシストという目に見える結果は出なかったが、難しい状況の中でも出来ることはやったと言えるだろう。オリバー・グラスナー監督により、120分間ピッチに立つことが許されたのは、その何よりの証と言えるのではないだろうか。

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